1.実習の概要と運営上の記録
1.0 実習の概要
本実習(「名古屋大学夏期日本語教育実習」)は、名古屋市に新しく赴任するAET(Assistant English
Teacher)を学習者とし、名古屋大学大学院生が教師を務める教育実習である。1989年、名古屋市教育委員会の協力により実現の運びとなり、本年度で12回目を数えた。
本実習の大きな特徴は以下の4点にあると考えられる。
コースの特徴 :7日間ほどの短期集中型
学習者の側の特徴 :全ての学習者の母語が英語
教材の特徴 :実習者が作成した教材を使用
実習者の側の特徴 :チームティーチングをとり、すべてのレベルの
学習者に直接法で指導
これらの特徴のうち、前二つの特徴は外的な条件であり、学習者がAETであるということと、彼らのスケジュールによって必然的に決められるものである。特にスケジュールに関しては1.1.でも後述するが、8月の上旬に来日して、下旬には愛知県の各地域へと赴任して行くという日程であったため、この7日間が許される限り最長の日程であったことは述べておく。
後の二つの特徴は、実習者の側の都合により決められたものである。「当該のコースに最適な教科書とはどのようなものであるか」という問いに答えていくことは、日本語教育の学習者に不可欠なケーススタディーであり、本実習ではそのような学習の機会として、実習者が教科書の作成を行っている。なお、本年度に関しては、昨年度の『ひまわり』に若干の変更を加えるに留まったが、その詳細は1.5.にて後述する。
1.1 2001年度夏期教育実習の概要
今年度の夏期日本語教育実習は9名の学習者を、ゼロ初級、初級、中級の3クラスに分け、それぞれのクラスに担当実習者が2人つくという形で行われた。スケジュールは8月15日(水)から8月23日(水)(18日(土)と19日(日)は休日)を予定していたが、21日の午後と22日は台風のため予定外の休講となった。以下、表Tにクラス編成、表Uにスケジュールを示す。
表T
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クラス |
担当実習者 |
学習者 |
教室 |
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ゼロ初級 |
谷・f地 |
3名(カナダ2名/アメリカ人1名) |
会議室A |
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初級 |
石原・高橋 |
2名(ニュージーランド人1名/アメリカ人1名) |
日言文演習室 |
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中級 |
月森・八木 |
4名(アメリカ人2名/オーストラリア人2名) |
多元演習室 |
表U
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1 9:30〜10:20 |
2 10:30〜11:20 |
3 11:30〜12:20 |
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15(水) |
オリエンテーション ・プレイスメント/ 授業 |
授業 |
ウエルカム パーティー |
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16(木) |
授業 |
授業 |
授業 |
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17(金) |
授業 |
授業 |
授業 |
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18(土) 〜
19(日)休み |
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20(月) |
授業 |
授業 |
授業 |
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21(火) |
授業 |
授業 |
授業≪休講≫ |
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22(水) |
授業≪休講≫ |
授業≪休講≫ |
授業≪休講≫ |
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23(木) |
アクティビティー ☆9:30〜11:00 |
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#全参加者でオリエンテーション後、ひらがなが読める学習者は
プレイスメントテストを受け、読めない学習者はひらがなの授業を受けた。
#オリエンテーションとアクティビティーは「日言文演習室」。
#ウエルカムパーティーは「院生研究室」。
1.2 各係の仕事
ここでは、本年度の実習を運営するに当たって分担した各係の仕事の内容を記す。本年度は、渉外(外部)、渉外(内部)、会計・備品、書記、報告書編集の5つの係を置いて運営に当たった。
● 渉外(外部) (担当:石原)
渉外係は、名古屋市教育委員会と教育館の、AETの参加するJETプログラムに関する業務を担当している先生方との連絡が主な仕事である。名古屋市教育委員会では、学校教育部指導室の指導主事の先生に、また、教育館(中区栄セントラルパーク西)では、AET担当の先生にお世話になる。渉外係の仕事の詳細については、「AET渉外係の仕事」というプリントが代々受け継がれてきているが、今年から参加者との連絡をe-mailで行うことにしたことなどから例年と比べて様々な点で異なる仕事があったので今年行った渉外係の仕事を日程とともにまとめる。
・市役所への電話
5月中旬までに(ゴールデンウイークのことも考えて連絡は早めにした方が良い)市役所の教育委員会のAET担当の先生に実習のお願いと挨拶をする。昨年までは挨拶は電話のみで済ませていたようだが、今年から新しい先生に担当が変わったので、今年はまず電話で挨拶をし、会っていただく日にちを決め、市役所までお伺いした。
・市役所へ訪問(今年度は5月17日にお伺いした)
電話で会っていただく日にちを決め、市役所に伺う。
この教育実習は、名古屋に英語の教師として訪れるAETの為に行われる事前研修の内の一つである。この事前研修はJETプログラムと呼ばれ、前年度のAETの人から日本での生活についての話を聞いたり、教育館で日本の学校での英語の教え方などのレクチャーを受けたりというプログラムである。私たちが担当する日本語授業もこのプログラムの一部で、市から名古屋大学が代々委託されて行われているものである。
まず指導室へ行き、AET担当の指導主事の先生に会う。お会いしたら自分の所属、担当教官の先生の名前を言い、今年の担当者として挨拶をする。そして、参加者や日程について現時点で分かっていることを聞く。今年度は5月17日の時点で分かっていた来名予定者の一覧表のコピーをいただいた。この時点では参加者の人数と名前と、到着日の確認をする程度。
教育委員会の指導室ではAETのプログラムの全体としての業務を担当しており、参加者の連絡先や、来日後の細かい日程などは、教育館の先生方が担当している。従って、日本語授業の日程の交渉やAETの参加者との連絡についてのことは、教育館の先生と直接交渉していくことになる。この時点では教育委員会の先生に教育館の外国人講師室のAET担当の先生を紹介していただき、後日その先生に連絡を取ってお会いする日時を決め、教育館へ伺う。
・教育館へ訪問
市役所で教育館の先生を紹介していただいたら教育館に電話してAET担当の先生に挨拶する。そして日程などについて細かく交渉するため、直接会って話す日にちを決める(今年度は6月4日訪問。でも、もっと早めに連絡を取って交渉をはじめた方が良い)。教育館の外国人講師室の先生方とは、実習終了まで様々な面でお世話になるので密に連絡を取るようにした方が良い。
一度目の訪問から実習の具体的な交渉に入る。以下に教育館の先生と交渉しなくてはいけないことをあげる。
@参加者の来日予定と参加者の来日後のスケジュールを確認する。
A参加者の詳細な情報をもらう。
B参加者との連絡方法を確認する。
(今年度から参加者との事前連絡をe-mailにて行った。そのため、一度目の交渉の時点で、分かる限りの参加者の連絡先を教えてもらった。しかし、参加者のpersonal dataは、それぞれの国からfaxで送られてくるので、e-mail addressは印刷が鮮明でわからないこともある。そのため、教育館の先生と必ず原本を照らし合わせながら確認し、その後の連絡を行う必要がある。)
C日本語授業の期間と日程を決める。
(例年期間は一週間から八日間程度。本来ならば2週間ほど授業ができるのが理想だが、AETは新しく住むところを決めたり、勤務する学校での様々な手続きをしたり、中高生の英語のスピーチコンテストに参加したりと、来日後は連日、過密な日程を送るため、日本語授業の日程は多くて8日間程度となる。最悪1週間しかできない場合もあるので、お盆の期間(お盆の期間は授業が行えない)なども考慮し、なんとか8日間は確保できるように交渉したい。今年は、到着日が2グループで別れ、2グループ目が到着するのが8月8日だったため、そのグループのアパート探しを至急してもらい開始日を8月15日にしてくれるよう交渉した。本来ならばお盆は授業を行えないのだが、24日以降はどうしても延長できないため、先生に無理を言って、15日から23日までの7日間(土日をのぞく)としてもらった。
D一年後アンケート実施の日程を決める。
(昨年度AETに対して例年「一年後アンケート」を行っている。これは、昨年度の実習の参加者に現在の日本での日本語の使用についてアンケートを行い、ニーズ分析して実習に役立てるものである。そのため、このアンケートはできる限り早めに行う必要がある。教育館の外国人講師室は常に名古屋市内で勤務しているAETの方々が出入りしているが、全員が集まっているのは毎週月曜日のミーティングの時のみなので、その時にしかアンケートは行えない。従って、一年後アンケートはできる限り早めに作成して、教育館の先生にお願いし、AETのみなさんにミーティングの後残っていただくように交渉する。ミーティングは長引くこともあれば予想外に早く終わってしまうこともあるのでアンケートを行う日は早めに待機しておくのが望ましい。今年度は6月18日に実施した。配布してその場で答えてもらい収集した。)
E参加者のe-mail addressの一覧表作成と送付(教育館へ)、及び、連絡が取れたかどうかの確認。
(今年度は新しい試みとしてe-mailで来日前に参加者と連絡をとった。その際、faxで送られてきたe-mail addressが正しいかどうか、返信が来たかどうかを教育館の先生に報告する。また、今年はその正しいe-mail address の一覧表を作って教育館にfax で送ってほしいと頼まれたため、それも行った。来年度以降は連絡をどのように行うのか分からないので、この点についても教育館の先生に確認を取る必要がある。)
・一年後アンケートの実施
今年度の一年後アンケートは6月18日に行った。毎週月曜日の午前中、教育館で行われているミーティングの後、AETのみなさんにそのまま残ってもらいアンケート用紙を配布し、回答してもらい、その場で収集した。教育館の先生方はできるだけ多くの人数が集まれる日を選んでくれるので、アンケート用紙の準備は早めに行いたい。
・本山駅及び名大周辺の地図及び日程表作成
7月はじめまでに参加者の通学ルートや名大周辺の地図を作製し、また、授業の期間と日程(授業時間など)の表を作成して、教育館の先生に提出する。参加者は、この地図や日程表を教育館の先生から事前に受け取り、授業開始日に名大に来る。参加者は来日してすぐ新しいアパートを探して住み始め、金山などといった少し離れたところから通ってくる学習者がいる可能性もあるので、そのことも考慮した地図を作成しなければならない。今年度は7月2日に地図と日程表を作成して教育館へ提出した。
・e-mailを使用したプレイスメントテスト及び事前アンケート
今年度は、参加者が日本に到着する前にプレイスメントの為のテストや事前アンケートなどをe-mailで行った。これは、渉外の仕事というわけではないので実習生で担当を決めて効率よく学習者情報を収集する必要がある。
・授業開始日に引率してくださる先生の確認
授業が始まる日には教育館の先生と教育委員会の先生が2人ほどでAET参加者を学校まで引率して来る。そのため、実習生はバス停まで出迎えに出る。開始日の一週間前には教育館と教育委員会に連絡を取り、誰が引率してくるのか確認を取っておく。先生方は引率してきた後、授業の見学をしていかれるので先生方が座る席も用意しておく必要がある。
・授業終了後の挨拶
授業が終了した後早い内に教育館と教育委員会に行き、授業を担当させていただいたお礼と挨拶をする。その際授業後のAETのみなさんの様子や授業に対する評判なども聞くことができる。
・その他
その他参加者との連絡やプログラム全体の変更などについては教育館と教育委員会にすべて報告する必要がある。そのため、なにか予想外の事態が起こったときにも教育館と教育委員会への連絡は渉外係が行う。
今年度は授業の期間が8月下旬にずれこんだこともあり、授業予定日に台風が来た。このようなとき、参加者はまだ電話を持っていないことが多く、連絡の取りようがないこともある。そのため、参加者との授業期間中の連絡方法などについても教育館と話し合い対策を立てておく必要がある。今回は電話を持っている参加者を経由して参加者全員に連絡が行くように前日に手配し、その旨教育館にも連絡した。台風のため3時間の授業を2時間に短縮したり、次の日暴風警報が発令されたため授業を中止したときなども逐一教育館へ連絡しなければならない。
以上が今年度の渉外係の仕事内容である。来年度以降は参加者との連絡方法などもよりスムーズになるだろうと予想されるし、本年度の反省をふまえ、より早めの行動が必要であると思われる。
● 渉外(内部) (担当:月森・八木)
学内の渉外。具体的には、教室確保を行う。通常、言語文化棟にある教室を使用する。本年度は、E-mailを利用して学習者の来日前に、プレイスメント調査を行うことができたため、学習者が3クラスに分かれると予測でき、早い段階で必要な教室数を確保することができた。また、言語文化棟内にある留学生センター所有の教室も事務を通して使用許可を取ることができた。
ただし、各クラス何名になるかまでは確定できなかったため、直前に部屋が狭いことを理由に教室移動を行うことになった。
使用教室を決める際には、授業で使用するであろう機器(白板、テレビ、ビデオ等)が揃っているかどうか、ない場合は、借りることができるのか持ち込みが可能か、その際のコンセントの位置、機器使用届の有無などを事前に調べておく必要がある。
また、授業開始後に、学習者の方から椅子が体に合わないという申し出があった。今回はその申し出に対応することができなかったが、大きめの椅子が用意できるかどうかも事前に調べておくとよいであろう。
なお、今回渉外係はウエルカムパーティーの準備の責任者も兼任した。パーティーの概容は以下の通りである。
場所:言語文化部棟2F 日本言語文化専攻院生室
日時:初日のプログラム終了後(1時間)
参加人数:16名 (実習者6名/学習者9名/指導教官1名)
用意したもの:おにぎり、サンドイッチ、お菓子、ジュース、紙コップ、ナプキン
費用:5千円程度
プログラム
T. 係からの挨拶
U. 自己紹介
・午前中の授業で学習した自己紹介を実践した学習者もいた。
V. フリートーク
・実習者の間で英語の使用に関するコンセンサスがとれておらず、英語での会話も目立った。
・スケッチブックでコミュニケーションをとる学習者や教具として作成した日本地図を使って自分の出身地を説明する
実習者もいた。
・椅子を出したため、近くに座った人しか会話ができないようになってしまった。立食形式にしてもよかったかも
しれない。
● 会計・備品 (担当:高橋)
実習の事前準備や実際の授業の中で必要となる備品をそろえるのが備品係の仕事である。買いに行く前に助手の先生と連絡をとり、一緒に買いに行くことになる。備品の中には、生協で買うのではなく、業者から買わなければならないものもある(助手の先生に確認)。今年度は業者から買った備品はなかったが、もしある場合には、業者からの取り寄せに多少時間がかかるため、早めに依頼する必要がある。
以下は、今年度に買った備品のリストである。
(事前準備の段階で必要なもの)
・
2穴式ファイル(3つ) (→各クラスに一つずつ)
・
クリアファイル (→アンケートなどを収納するため)
・
フロッピーディスク
(授業の前に必要なもの)
・
カラーのマジック
・ 色鉛筆
・ 模造紙(2枚)
・
画用紙(15枚)
・
MD (→インタビューの録音や、授業で使う教材の作成に使用)
・
ビデオ(24本) (→授業の撮影に使用。1本に2時間分を収録)
※今年度は使用できる三脚の数が足りなかった(VHSのビデオカメラを載せることのできない、貧弱な三脚が一つあった)ため、(その三脚でも使用できる)小型のデジタルビデオカメラを借りることになった。
(アクティビティー(習字)で必要なもの)
・
墨汁(2つ)
・
半紙(100枚) (→でも足りなかったので、後になって買い足した)
・
筆(8本)
※書道に必要な備品のうち、上に挙げたもの以外(例えば下敷きや硯など)については、書道セットを持っている実習生や実習生の知人から貸してもらった。
実習に必要な備品をそろえる。具体的には、ファイル、サインペン、フロッピー、MD、ビデオテープ、日本語能力試験の過去問、画用紙などである。今回は、必要なものをまとめてリストアップし、助手にそろえてもらえるように頼んだ。
会計の仕事としては、テキストその他代として、学習者から1人1000円ずつ集めた。このお金は、実習初日に行ったウェルカムパーティー費とアクティビティーで急遽必要になった備品費にあてた。
なお、実習後にまとめる報告書作成に当たって、保存用のMO(Mac用・Windows用)も必要となる。
● 書記 (担当:f地)
ミーティングを行う際に書記を行う他、ミーティングに参加できなかった人のためと、話し合った内容を確認するために、話し合いの内容をまとめて実習生全員にメールを送った。連絡に関しては、主にメールを使用した。
● 実習報告書編集 (担当:谷)
実習終了後、ホームページ上の報告書を作成する際の責任者である。
翌年1月中旬頃にミーティングをし、報告書の項目や分担、原稿のフォーマットなどを決め、それから本格的な作業に取りかかった。資料の所在がわかななくて焦ることのないよう、ファイルやフロッピーなどの資料整理は実習終了後すぐに行い、特に保管場所についてははっきりと覚えておくようにする。
例年はPageMillでホームページを作成していたが、今回はWordのホームページ作成機能を用いた。各自がWordで書いてきた原稿をそのまま使用することができるので、編集が楽である。
●総括
本実習が名古屋大学、教育委員会、実習者という三つの団体から構成されるプログラムであるため、他と比較して渉外(外部)の仕事量が大きくなってしまった。渉外(外部)担当の頭数を増やしてもよかったかもしれない。
1.3 ニーズ分析(一年後アンケート)
本年度の実習プログラムを決定するための参考資料とするため、昨年度本実習を受講した学習者を含む名古屋在住の日本語学習者にアンケートを行った。
アンケートの概容は以下の通りである。
実施日:2001年6月18日 午後3:30〜
場所 :教育館(中区栄セントラルパーク西)
被験者:名古屋市で働くAET 26人
(名古屋大学の日本語コースを受けたことの有無は問わない)
内訳:名古屋大学の日本語コースを受けたことのあるAET
1998年度以前―8人
1999年度―6人
2000年度―11人
不参加―1人
アンケートの結果は、以下の通りである。
《アンケート結果》
1.どんな場面で日本語を使うか。
(1)レストランで−26人
・注文−24人 ・食べ物や飲み物について聞く−19人
・その他:9
教師や友人と話す お手洗いや駐車場について聞く
禁煙席と喫煙席について 料理が辛いか辛くないか
別々で払うとき 値段を聞く
特別に肉抜きの料理 席料
セットメニューについて
(2)乗り物−24人
・電車―20人 ・タクシー―20人 ・地下鉄―18人
・バス―18人 ・その他:4
どこで降りるか どの路線か
タクシーに行き先を教える ある場所への行き方を聞く時
かかる時間と値段
(3)電話―24人――――相手は?
教頭先生 親戚 友達 ピザ屋さん(配達) 学校
NTT 警察 お店 カタログ 旅行社
レストラン ガス会社 携帯会社 仕事 両親
先生 教頭先生に「病気です」と言う 日本人の友達
小包の受け取り ビジネスで、そして、知らない人に
ホテル(予約)―チェックイン
(4)病院で−10人―――――どのようなとき?
個人的なこと どこが痛いのか 妻がどこにいるか
病気・けが 事故 X線 医者に 薬
(5)銀行で−21人
銀行員に話す キャッシュカードとトラベラーズチェックをなくした
ふりこみ 誰かに振り込みの説明を頼むとき
家にどうやってお金を送るか 口座の説明
両替 通帳をなくしたとき
(6)郵便局で−21人
・手紙を出す−19人 ・海外へ手紙を出す−17人 ・国内便−11人
・郵便貯金−4人 ・その他−5人
税金を納める 荷物を送る お金を送る
お金を海外に送る ワールドカップの申し込み 寮のお金を払う
何かを送るときどのくらいかかるのかということと、値段を聞く
(7)市役所などで−12人
新しい外国人登録証をとるとき 健康診断 区役所
入国管理局 ビザをとる 情報をきく
(8)ショッピング−22人―――――どのような店でどのようなとき?
何か探しているとき 服屋 ギフトショップ 食料品
音楽 家具 サイズ 試着 写真 値段
スーパー
(9)学校で−24人―――――誰に?また、どんなとき?
生徒にゲームの説明をするとき 教師に 生徒に
社会事情について同僚と話す 自己紹介−目上の人に
うちあわせ 教頭先生―病気の時、教育館へ行くかどうか訪ねる
英語の先生以外と話すとき 校長先生 同僚
全員 宴会 英語の話せない教頭・校長
ほかの先生に(自己紹介−趣味、興味etc.)
(10)他−6人
女の子をひっかける 旅行会社 旅行の予約
ラグビーチーム 日常会話 することなんでも
2.仕事でどのくらいの頻度で日本語を話しますか?
2.1頻度
いつも−3人 よく−9人 時々−13人 めったに−2人 全く−0人
2.2状況
英語の教師に−13人 他の教科の教師に−26人 生徒に−20人
他−7人:
セールスの人、校長・教頭先生、会った人、ラグビーチーム、友達、日本人の友達
3.日本に来る前にどんなことをおしえてもらいたいですか?
電話の会話 基礎日本語文法(conjugating verbs?、発音)
便利な表現 本物の不動産屋で 学校の紹介のスピーチ
日本語 どうやって電車に乗るか 日程を聞く等
切符の値段 学校のスピーチ(writing)歓迎やお別れパーティーで
食べ物の名前 言語 歴史 文化の情報(状況による)
基礎 入門日本語 旅行の表現
日本に来る前に二年間日本語を勉強したので大丈夫だった。
4.名古屋大学の日本語コースに参加したことがありますか?
〜98年−8人 99年−6人 00年−11人
5.いつ参加しましたか?6.どのクラスに入りましたか?・・・集計参照
6.コースで行われたうち、どの項目がもっとも役に立ちましたか?
ひらがな−2人(00) かたかな−2人(00)
教室会話−20人(98-8人,99-3人,00-9人)
98,99年参加者
自己紹介―6人 アパート探し−4人 レストランで−9人
道を聞く−9人 電話 −10人 病院で −5人
誘いと断り−9人 お礼を言う −5人
00年参加者
自己紹介−6人 注文−6人 ショッピング−5人
道を聞く−4人 電話−4人 病院−2人
誘いと断り−5人 お礼を言う−2人
(上級者)
日本のポップカルチャー−3人 ディベート−2人
雑誌を読む−2人 あげるもらう−1人 テレビドラマ−1人
頼む・断る・薦める−2人 名古屋弁−3人 日本語検定−0人
7.新AETに何かアドバイスがあればおねがいします。
・動詞のconjugationsを勉強しよう! ます形の代わりに、普通体を勉強しよう!
・学校紹介
・ここで自分の意見を言えるよう、なるべく早めに始めて、なるべくたくさん勉強するようにしよう。
・この日本語コースはとても役に立つ。使おう。それを毎日続けよう。
・このコースはとてもよかったと思う。次の年のプログラムもがんばって。
・練習が完璧を生む。
・名古屋弁はとても役に立つ。ありがとうございました。
以上のようなアンケート結果は、一つ一つ、各クラスのテキスト改訂や教案作成に反映させることにした。またこの結果から、この日本語コースが全体的には役に立っていると評価されているものの、教材のシラバスなどにおいて、実生活から考えると再考の余地が残されているところが多々あることも分かった。
1.4 クラス編成
本年度の実習では、e-mailによる事前アンケートとインタビューテストを判断材料としてクラスの編成を行った。
以下に、それぞれについて詳しく示す。
●事前アンケートについて
6月に教育委員会から各学習者のe-mailアドレスを教えて頂き、7月中旬にはe-mailによって簡単なニーズ分析とレベルチェックを行うことができた。本実習は、日程上プレイスメントテストに十分な時間を割くことができないため、このような形で事前の情報を得ることが大切である。
アンケートは全て英語で表記したがその質問項目は以下の通りである。
@−名前 A−国籍 B−来日の有無 C−学習歴 D−ひらがな/カタカナが読めるか E知っている漢字の数 F−日本語レベルの自己評価 G−日本語検定受験の有無 H−難しいクラスに入りたいか I−ひらがなをクラスで使ってほしいか J−このコースで何を学びたいか。K−日本の何に興味があるか
@・Aは基本的な個人情報管理のために行った。国籍を聞く必要があるか、という声も上がったが、アンケートの頭に「書きたくない情報は書かなくても結構です」と記すことで問題にはならないと判断した。
B〜Gは各学習者の日本語能力を判定するために行った。勿論、完全にレベルを把握することは適わなかったが、クラス編成に関して大まかな見取り図を描くことが可能になった。また、特にD・EとIの質問により、ゼロ初級の教科書はローマ字、初級の教科書はひらがな、中級の教科書は簡単な漢字交じり文で表記する必要があると分かった。なお、Cに関しては、単に長さを聞くだけではなく、いつからいつまで、どこで、どのような教科書を使って学習したのかを聞いた。本実習の学習項目と重ならないようにするためである。
H〜Kは指導項目を決定する際に役立てた。中級など、教科書もシラバスも定まっていないクラスでは、特にこのような情報が有益となった。
●プレイスメントテストについて
実習初日のオリエンテーション直後から、20分ほどのプレイスメントテストを行った。e-mailによるアンケートにより、事前にクラス編成の青写真を描くことができており、日本語を学んだことがないと回答した学習者、ひらがなに自信がないと回答した学習者はゼロ初級、あるいは初級(初級の下)と判定し、プレイスメントテストの代わりにひらがなの授業を用意した。そのため、プレイスメントテストは、日本語での簡単な指示や文法説明を理解し、また短文もしくは単段落での自由発話ができるかどうかといった、本コースの中級クラスに対応する能力を持つかどうかを確認する作業として位置付けられることになった。
テストは一人5分程度のインタビューテストであり、テスター2名と被験者1名の会話をレコーダーに録音する形式で行った。まずは簡単にひらがな、かたかなのチェックを行い、その後、誰にどんなプレゼントをあげたことがあるか、被験者がサンタクロースだったら子供達にどんなプレゼントをあげようと思うか等の質問で、会話の能力を測った。
判定は、中級クラスの担当者でもあったテスターの2名を中心として行った。しかし、事前に設定しておいた中級クラスの要求水準が漠然としていたため、学習者1名の判定に関して意見が割れた。結果的にその学習者は中級クラスとしたが、事後アンケートでは中級クラスが難しかったと述べており、本プレイスメントテストの問題点が浮き彫りにされる形となった。
1.5 テキスト改訂について
前年度のテキスト『ひまわり』は、ゼロ初級・初級クラスの両方で使用されていたが、文法項目や表現や表記などの点において、ゼロ初級者用としては難しく、一方既習初級者用としては少し簡単なのではないかと感じた。そこで、『ひまわり』を基に大幅に内容の改訂を行い,ゼロ初級・初級クラス用それぞれ別のテキスト『ともだち』を作成した。
具体的な改訂箇所は以下の通りである。
1.5.1 ゼロ初級クラス
・改訂時の留意点
はじめて日本語を勉強する学習者を対象とするテキストであり、また授業時間数が大変短いということを念頭に置き、日常生活において最低限必要な会話をなるべく簡単な表現でできるようにダイアローグを考えた。
・表記
ひらがなとローマ字を併記した。ローマ字はヘボン式を採用し、長母音は『ひまわり』のようにバーをつけるのではなく、二重表記とした(eego,gakkooなど)。
なお、教科書作成時にローマ字表記をする場合や、授業においてローマ字表記で板書する際に、「し」「しゃ」のsh、「ち」「ちゃ」のch、「じ」「じゃ」のj、「ふ」のf等で、統一されていないことがあった。
・シラバス
前年度来日し昨年度の名大のAETプログラムに参加した現AETの方を対象として行われた一年後アンケートの結果をもとに、シラバスを一部変更した。
第7課「さそいとことわり」→「てがみをおくる」
第8課「おれいをいう」→「また あした」
第7課「さそいとことわり」を「てがみをおくる」に変更し、郵便局や銀行での会話、第8課で「さそいとことわり」の表現と同僚の家で夕食をごちそうになった際のお礼の言い方についてとりあげた。
・文法項目
追加した項目
Hai,~desu./Iie,~ja
arimasen. (1) N onegaisimasu
(2) adjective-no (3) Nan-ji~? (5) Nan - ? (7) node (8) V-te kudasai (8)
*( )の数字は『ともだち』の課。
削除した項目
Nan desu ka ? (2) arimasu ka ? (2) itsu
(5) –tai n desu (6) kara (7)
*( )の数字は『ひまわり』の課。
・テキストの構成
『ひまわり』ではGRAMMAR POINTSで文法項目を挙げ、REFERENCEでその説明しているが、『ともだち』ではGRAMMAR POINTSに各文法項目の説明も載せ、REFERENCEには授業内では扱わないかもしれないが、関連のある文法事項の説明を載せた。
・付録
学習者に早く覚えてもらい、できるだけ授業が円滑に進むように,「きょうしつようご」を24個から18個にしぼった。「ぎもんし」では、5個の疑問詞にしぼった。家族の呼び方を載せた「かぞく」のページを新たに付け加えた。
1.5.2 初級クラス
・改訂時の留意点
多少文法的に難しい表現でも、自然さを優先し、その際にはUSEFUL PHRASEとしての取り扱いとして文法的な解説は避けた。また、敬語を使う方が自然な場面では、極力敬語を取り入れるようにして、それについての解説を英語で加えた。しかし、あまりにこなれた表現は学習者にとって負担となり、また、今回のプログラムの期間が短かったこともあったので適切に解説を加えたりUSEFUL PHRASEとして扱ったりと調節をした。
・表記
「ともだち初級」における表記については、e-mailによる事前アンケートによって初級クラス参加者はひらがな、カタカナ、若干の漢字が読めることがわかっていたので、ローマ字表記は完全に削除し、漢字にふりがなをつけることとした。
また、DIALOGUE
VOCABULARY、USEFUL PHRASES、GRAMMAR、EXERCISES、 RELATED WORDS
& PHRASESに載せた単語と、未習と思われる単語には、適宜英訳や解説を加えた。
・シラバス
ゼロ初級クラスと同様に、一年後アンケートの結果をもとにシラバスを一部変更した。
第7課「さそいとことわり」→「てがみをおくる」
第8課「おれいをいう」→「また あした」