実習における学習者情報の収集・利用に関する一考察
〜事前調査の改善とコース実施中の調整の改善にむけて〜
渡邉 恵里
0.はじめに
本研究科の夏実習では、学習者のニーズ・レディネス分析、クラス編成、シラバス・教材の作成等、コース全体に関する諸決定を実習生自身がチームで行うという意味で、コースの一部である1,2コマで特定の教科書中の教授項目を担当する形の春の実習とは異なる体験ができる。
今年度の実習では、教師が学習者をよく知ることが重要であるという考えから、1つのクラスを同じ実習生グループで受け持つ担任制で行うことになった。筆者の担当した、初級文法の途中までの知識があると想定されたレベルのクラス(Bクラス)では、事前に得られない情報があったという状況的条件と学習者の意向を重視するという目標を考慮して、コース開始前にある程度の土台は作りつつも、学習者の反応や意向を取り入れながらカリキュラムの調整や変更を行うという方針をとることになった。
このような方針は、「学習者中心主義」に基づいたコースデザインの考え方(田中1988,日本語教育学会1988)と重なる。従来の先行シラバスに後行シラバスの考え方を折衷する、つまりコース実施中も学習者の意向を取り入れてシラバスの調整を行うシラバス・デザインの方法はプロセス・シラバス[i]と呼ばれる。今回の実習は短期間であるため、シラバスを調整するというよりもカリキュラムの調整が中心となった。
今回の実習では、その方法をとらなくてはならない状況であったこともあるが、実習においてコースを実施する途中での変更を前提とするということが時間と労力のかかる作業である事は、後行シラバスの考え方を取り入れる際の問題点として指摘されている(田中1988,日本語教育学会1988.1990)とおりである。そこで、事前調査でできること、また事前調査で情報が得られなかった際の対処として何をするべきか、調整をどのように行うのが効率的かということを振り返って考える必要があると思われる。
本レポートでは、今年度夏実習、主に担当クラス(Bクラス)について、学習者からの情報や意向をどのように収集し取り入れたかについて、コース開始前の準備中とコース実施中に分けて振り返り、実習におけるよりよい事前調査と、その事前調査で足りなかった学習者情報を収集する方法や不足していた際の対処法、実施中の改善のために行えることについて考察し、改善策を述べる。
コースデザインは、一般的に 1)学習目標の把握とニーズ分析 2)目標言語調査 3)レディネス分析 4)シラバス・デザイン 5)カリキュラム・デザイン 6)評価 7)コンサルティングといった段階をもったものである(田中1988)。これに基づき、
1では、コース開始前の1)〜5)、
2では、コース実施中の6)による4)と5)の調整について述べる。その後
3、4で、それぞれの過程における問題点と改善策を述べる。
1.コースの準備段階における学習者情報収集とその利用
1−1.コース開始前の学習者情報の収集
(1)全体での事前調査
今年度の事前調査では、以下の3つの調査を行った。また、ニーズ領域分析は1年後アンケートの分析によっても行った。
T.事前アンケート
事前アンケートは、学習者のニーズおよびレディネスに関する情報を得るために行われた。質問は以下の項目について行われた。
・国籍・母語・第二/第三言語
・名古屋大学のAET日本語教育プログラムへの参加経験
・外国語学習歴(言語、期間、学習の場所、教授法、学習方法)
・日本語学習歴(機関、期間、使用教材、教師(母語話者/非母語話者)、学習方法)
・日本滞在歴(時期、期間、目的)
・日本語使用機会(4技能別:対象者(媒体))
・発話能力に関する自己評価
・日本語能力試験の結果(あれば)
・ひらがな・カタカナ・漢字の読み書き能力
・ひらがな・カタカナの使用に関する希望
・漢字学習の希望
・コースで何に焦点を当てるかに関する希望(文法説明/新語彙/文法の発話練習/会話練習/作文など)
・日本の何に興味があるか
U.メールによる追加質問
以上の事前アンケートの結果の分析後、学習者が日本語を必要とする場面や学びたい事項についての情報が足りないということになり、個別に以下について質問をした。
1.日本でコミュニケーションに支障を感じた場面
2.もっと日本語を使用したい場面
V.口頭テスト(「PT」と呼んだ)(言語処理過程モデルに基づくテストインタビュー)
学習者の義務的文脈による自発的発話が言語処理過程モデルのどの段階(段階1〜6)に達しているかを判定するもの。エリシテーション・キューは絵あるいは学習者の母語(英語)によった。
以上の調査で明らかになった学習者情報は以下の通り。

(2)クラス独自に行った事前調査
学習者の発話レベルはある程度事前調査でわかっていたが、Bクラスでは実際にクラス担当実習生が学習者本人に会う機会を得られなかったため、事前アンケートやレベル判定のための口頭テストによって得られたBクラスの学習者の情報に不足を感じ、特に既習事項と未習事項を確認するため、以下のメールによってローマ字表記の文22文を送り、その意味を送ってもらった。
メール文(英語で)
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以下の日本語の文をよんで、その文法がどれくらいわかるかを○△×で表してください。 (○=はっきりとわかる △=前に習ったことがあるが、確かでない。或いは意味は推測できるが文法はよくわからない ×=全然わからない) もし時間に余裕があれば、○を選んだ文については英語訳を書いてください。 ※以下に、て形を使った各種文(依頼・許可・現在進行・結果状態)、比較・可能・仮定・受身・使役・授受・意向形を使用した基本的な動詞を使用した文を載せた。 |
以上の質問によっては、5人中2人からしか返答を得られなかった。ただ、以下のように、この2人からだけでも、学習者の既得文法知識に差があるということはわかった。
学習者J…「〜てもいいですか」「〜てもらえませんか」等はわからないが「〜ていただけませんか」はわかるといった断片的理解がある。
授受本動詞はわかる。その他の文型知識は正解のところもあるが推測によるものと考えられる。
学習者T…仮定・受身・使役以外の文は理解でき、学習経験はあるが自信がない。て形を使用した文は全て理解でき学習経験もある。
1-2.コース開始前に得た情報の利用と決定事項
コース開始前には、各学習者の情報が徐々に明らかになり、クラスわけ・シラバス(教授項目)・カリキュラム(教授法・教室活動・教材・時間配分)の一部が決定された。以下にそれぞれについて利用された情報に触れながら事前の決定事項と作業の過程を簡単に述べる。
(1)クラス分け
クラス分けは、一般的にはシラバスが決定した後で行われるが、事前アンケート中の学習歴・自己評価・滞在歴、口頭テストの結果を実習生全員で評定した段階をもとに、Bクラスでいうとシラバス(教授項目)の決定前に行われた。
ここで、事前アンケートは口頭テストの結果を待つまでの予備的情報として使われ、主に口頭テストの結果によるレベル評定が決め手となった。
ここでは、段階2の学習者を段階1と段階3のどちらのグループに属させるかということ、口頭テストをまだ実施していない、学習歴と自己評価ではレベルが高いと予想される学習者2名がどの段階に入るかわからないということで、実質的には「3つのクラスができそうだ」ということがまず決定された。その後、徐々に段階1の学習者が多いこと、レベルが高いと予想された学習者が実際に口頭テストで高段階であることが判明したため、段階1の学習者(ゼロ初級)、段階2,3の学習者(ゼロではない初級)、それより上の学習者(中上級)の3つのグループにする事が最終的には決定した。つまり、Bクラスでは事前にレベル差があることがわかっていた。
(2)シラバス作成
シラバス、つまりコースでの教授項目は、場面や機能についての必要性と希望を聞いたメールによる質問(1−1−U)と、事前アンケート(1−1−T)のコースでの焦点に関する希望についての質問に対する回答から、まず、文型に焦点を当ててほしいという学習者がいる事、学習を希望する場面・機能について全ての学習者から要望が寄せられたことから、全体の話し合いによりBクラスの構造・場面・機能の候補が出され、それらを折衷したシラバスを作成するという方針が決定された。その後はクラスごとにその後の学習者情報によって決定するということになり、Bクラスについては、当初は段階3の学習者を想定してシラバスを決定しようとしていたが、徐々に段階2の学習者も入ることが確定したため、それらの構造・場面・機能を、ある場面である文型あるいは機能の導入を行うことができるように組み合わせを考える、という方針になった。つまり、これら全てを教授内容とするわけではないという点で未完成であった。
(事前のクラス別話し合い記録より)
<場面の候補>
・ レストランで →学習者T、Aの希望より
・ 買い物 →学習者Aより
・ ビデオ屋でビデオを借りる →学習者Sより
・ 学校で →全ての学習者の目標言語領域に含まれると思われるため、学習者Mより
・ 病院で →直接的には?、学習者SのBook off、外国人登録などの場面の希望が特殊で、一般的に相手の質問や指示を
聞き取って必要事項を書かなくてはいけないときの場面を想定した
<機能の候補>
・自己紹介 →全体で自己紹介会が行われること、一般的に必要な場面であることから
・注文する・要求する →学習者Tより
・ものを形容・説明する →〃
・許可求め →学校で必要ではないかという考え、1年後アンケートから
・依頼・断り →〃
・誘い →〃
・伝聞 →〃
<構造の候補>
・条件 →学習者Jの希望
・可能形 →学習者Tの希望より可能形が必要であると考えて
・連体修飾
・た形文型、比較、その他動詞の活用で未習と思われるもの →PTでて形までが習得範囲であると判定されたため
(3)カリキュラムの仮決定(教材・時間配分・教授法・教室活動)
教材:
全ての学習者の情報が揃うまでに時間がかかり、まず、教材については学習者の希望と1年後アンケートの分析中必要だと思われる場面、希望のあった場面、機能、文型を中心に「会話文」を2,3通りの難易度で作成し、その中で提出される文型や機能の候補をあげ、後で重なったところを調整し何を教えるか決めようということになり後に決定した。
その後、会話文の中で提出される語彙や文法の説明の部分を作るという共通点を持たせた。しかし、授業の中で文型を提出し理解もするという想定で教材作成をする場合もあり、そういった点で未完成部分が多く残っていた。会話文をどのように授業で利用するか、何を学習目標とするかはその後決めることになり、実際の授業でその中の新出文型に焦点を当てるか、場面で使うフレーズとして文型を導入するということはしないかなどということは決定していないところもあった。この際、会話や文法説明部分について既存の教科書を参考にし、適切な難易度にするために語彙や表現を調整した部分もあれば、参考にできる場面がなく自分たちで自然さを調節した部分もあった。
時間配分:教授法:教室活動:学習目標:
場面・機能・文型の組み合わせとして次のことが事前決定されていたが、仮決定であった。
「下線部は場面/機能、☆はそこで提出する文型(様子を見て)、 ・ は注目できればする文型 」ということがそれらにあわせた2,3の教材原型とともに決まっていた。これを実施中に調整することにした。
【事前の決定事項】
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1日目 |
2日目 |
3日目 |
4日目 |
5日目 |
6日目 |
7日目 |
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1 |
オリエンテーション |
買い物 ☆ Nのほうがいい ・ 〜し、〜し ・ Adjくなる |
許可を得る ☆〜てもいいですか ・Vたほうがいいですよ |
知らない日本語について聞く(依頼) ☆〜んですが、Vてくださいませんか |
依頼と断り ☆ 〜なければならなくて... ・〜なければなりません ・〜はちょっと... |
事物の描写(郵便局) ☆ Adj/V+N |
復習 ? |
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2 |
自己紹介 ☆Vこと・Nがすき ・〜ています(職業) ・ 出身 |
レストランで(食べられないものを伝える、注文する+α) ☆ 可能形 ・Adj+N |
病院で 語彙(聴) ☆Vてください ・〜かもしれない ・〜てもらっていい ・Vたら...て下さい |
日本文化デー |
電話でピザ注文 練習 |
フェアウェルパーティーの準備 ? |
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伝聞 ☆〜そうです ・〜と言っていまし た ・〜だって |
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3 |
ビデオレンタル ☆Vたいんですけど ・〜ので ・AとBで...になる |
放課後人を誘う ☆ 〜ましょう ☆ 〜ませんか ・〜ない? |
電話でピザ注文 実践 |
フェアウェルパーティー |
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全体での自己紹介会 |
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2.コース開始後の学習者情報の収集とその利用
2-1.コース開始後の学習者情報収集
コース開始後の学習者情報の資源は、授業中・授業後に分けることができる。
(1)授業中
・1日目のオリエンテーションでの説明と意見要求
1日目のオリエンテーションにおいて、当時できあがっていたスケジュールを見せ、説明し、「教授内容やスケジュールは要望によっては変更する事は可能なので要望を自由に言ってほしい」ということ、「クラスを一緒に作りたいと考えている」ということを伝えた。
・ 学習者の反応・様子
これは実習生本人が受け取った主観的印象・記憶であり、今年度の実習では「授業記録」に実習生自身が授業中に行った発話や活動に対する「学習者の反応」という欄を設けることにより行った。
(2)授業後
・ 授業観察者(他の実習生)の受けた印象
授業観察者の受けた印象は、授業後に同クラス担当の実習生の間で交換された。
・ 授業後アンケートの結果
また、授業後アンケートは毎コマ後に行った。Bクラスの授業後アンケートは途中で内容が変わったが、以下の点について評価をしてもらった。
1. 満足したか、満足度%
2. トピック・発話機会・得た知識の量・理解可能性について
3. 授業前に知らなかった事を学んだか、それは何か。学ばなかった場合その理由は(理解できなかったから、もともと知っている事ばかりだったから)
4. 授業中気分の悪い事があったか
5. わからない事を発話する場面があったか(→強制アウトプット(いえないことへの気づきを促す)活動についての反応を見ようとした反応)
6. 教師は自分の理解度を把握していると思うか。
7. 教師の発話の理解度とその理解度に関わる要因(速さ・明瞭さ・語彙・その他)
8. 教師の訂正フィードバックの量と方法
9. コメント
2−2.コース開始後に得た情報の利用と決定事項
(1)オリエンテーションでの要望受付
コースの計画を伝えてその場で受け付けても、すぐには意見がもらえなかった。勉強したい項目を言ってくれた学習者もいたが、すでに事前アンケートから得ていた情報と同じであった。
(2)授業記録から(授業中の学習者の反応の実習生の印象)
授業記録の「学習者の反応」に書かれた事を分析すると、全体的な印象と各学習者から受け取った印象とに分けることができ、また、それらが何に関する情報であったかについては、以下の点に分類された。
1.発話の特徴に関する情報
・ 発話の流暢さ
・ 発話の正確さ
・ 発話への積極性(発話の頻度・学習項目の応用的使用等)
2.聴解能力に関する情報
3.理解度に関する情報
・ 教授項目の理解度(ex.「分かったことを示す発話がない」)
・ 教師の発話中の語彙の理解度
4.未習・既習に関する情報
語彙、表現、文型に関する情報・授業中の発話の誤用(問題のある項目)
5.学習者の関心に関する情報
・ 話題の嗜好(ex.)
・ その学習者が重視する言語的要素(ex.助詞の使い分けの質問をよくする等)
6.活動の嗜好に関する情報(ex.Aは変換ドリルを楽しそうにする、テキスト音読はつまらなそう等)
7.教授項目の定着度
8.学習スタイル(ex.メモをよく取る、分からないときは自分で教材から探す等)
これらの記述は担当した実習生によって行われることが計画されていたが、実質的には他の実習生による授業観察記録(任意)や授業後の話し合い、または授業後アンケートを見た後に記述されることもあり、そこからの情報も含まれている可能性もある。また、授業直後に記述されなかっただけでなく、その当日に記述されないこともあり、次の日の実習生が必ずしも利用できないことがあった。このような学習者情報は観察者によって記録されるのが最も効率的であると言える。
これらの情報のうち、1〜4、7については、事前に候補に挙げていた教授項目、会話の難易度のうちどれを選んだらよいか、また、教材にどの程度の補助が必要で、どの程度口頭による導入や練習が可能かが決定された。つまり、シラバスの一部と、教材、教室活動についての決定がなされた。これにより、学習者のレディネスについて不足していた情報を補おうとしたことが窺える。また、7は既習レベルに関わらず、ある項目を導入したり、ある練習をさせたり、使用させたりしたときの出来具合によって、その学習者がどれくらいその活動を理解できるかということを知ることができ、教授可能性を予測するのに役立った。
また、5では練習や例文に出す話題、今までのトピックでよいか、どの話題の時にどの学習者を指名するか、また5も8もどんな項目を学びたがっているかということについてカリキュラムを調整するべきであるという話し合いがされた。
このように、主に学習者の目標言語レディネス、興味と関心の分野、学習スタイルなど、広義の「レディネス[ii]」にあたる情報がここから得られた。これはある程度事前にも得られる情報として考えられる。
(3)観察者のメモや意見
これは計画的にはなされなかったため、そのような記録がないときや詳細度が落ちるときがあったが、実質的に授業記録に書く内容はここからの情報も入っている可能性はある。
(4)授業後アンケートから(学習者の評価を取り入れる)
授業後アンケートは、授業を学習者の視点を取り入れて客観的に反省するために作成されたが、それ以降のカリキュラムの見直しを行うための重要な情報となった。ここで得た情報から、翌日からのカリキュラム(活動や練習の時間配分や扱う項目<文型か場面や機能か>についての調整を話し合って決めた。しかし、授業後の話し合いでは授業後アンケートを細かく見る事ができず、全体の満足度%と低い評価になった部分についてしか取り入れられなかったという記憶がある。
満足度の%は3日目以降に採用したものであるが、全体の満足度から、その授業が学習者にどう評価されたかということが意外にも数字によってはっきり表されるようになった。また、その満足度の高低が何によるものであるかという判断がつきやすい結果となっていたのは「発話の機会」「理解可能性」「得た知識の量」「教師の発話」の項であった。満足度が低いときは、ほとんどがその要因によるものであった。
また、「トピック」は、「とても面白い」という回答と、「とても面白いというわけではない」、「どちらでもない」という回答を作ったことによりその興味の度合いを知ることができた。しかし、トピックが我々の選んだ場面のトピックを指すのか、注目した文型を指すのか、どちらを想定して評価したかということがわかりにくかった。
その点で、「何を学んだか」という質問は、その学習者にとっては何が焦点となっていたのか、教師が焦点とした事はその学習者にとって新しい事であったかと言うことを判断でき、よい情報となった。ただ、レベル差があり、学習者によって偏りがあった。このことは、コース実施中に問題となるのは、学習者のレベル把握、既習事項確認とともに、レベル差がある場合にどの学習者に合わせて授業計画を行うかということについての決定を実施後の情報収集によって行ったという事を示す。
このように、事後アンケートからも、「学習者の既習事項」「活動の好み」「聴解能力」「トピックへの興味」について、事前調査で得られなかった情報を得ることができた。
2−3.コース開始後の変化について
これらの情報を得て、調整を行い、最終的に行った事項は以下のようになった。最初の計画から変化した部分を網掛けにした。(緑の網掛け部分は学習者の要望に関わらず外的な要因(全体行事のずれ、学習者の出席欠席、実習生の欠席による代講等)から変更する事になったもの。)
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1日目 |
2日目 |
3日目 |
4日目 |
5日目 |
6日目 |
7日目 |
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1 |
オリエンテーション |
買い物 電気屋、買い物語彙 ☆もう少し安くなりませんか |
許可を得る ☆〜てもいいですか |
誘う 実践練習 ☆ませんか、(時間表現)時間がありますか |
依頼と断り ・〜もらえませんか(既出) ・その日は...ので |
電話でピザ注文 練習 |
フェアウェルパーティーの準備 |
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2 |
自己紹介 ☆Vこと・Nがすき ・〜ています(職業) ・ 出身 |
レストランで(食べられないものを伝える、注文する+α) ☆ 可能形 ・Adj+N |
病院で 語彙(聴) ☆Vてください ・〜かもしれない ・〜てもらっていい ・Vたら...て下さい |
日本文化デー |
電話でピザ注文 実践 後半 ☆できるようになる |
フェアウェルパーティー |
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事物の描写(郵便局) ☆ Adj/V+N |
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3 |
買い物 1限の続き |
放課後何をするか ☆ 〜ましょう ☆ 〜ませんか |
個人レッスン 天気予報の聴解 |
漢字の確認等 |
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全体での自己紹介会 |
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(1)シラバス上の変化 (「何を教えるか」に関して)
・全体の教授項目の数
コース前半の時間配分が予定より長くなったために、伝聞表現、ビデオレンタル場面、復習の学習を削った。
・授業での会話文と文型の位置づけ(つまり構造・機能・場面のどれに基づいて授業を行うか)
会話文を文型の導入として使用するか、文型導入後の運用練習として使用するか、文型には焦点を当てずにそのまま練習するかなど、教師によって異なる使い方をしていたが、後半は文法か場面(語彙とフレーズを中心に会話をそのまま使う)か機能かのどれかに焦点が当てられた授業が多くなった。
・学習目標
最初に計画していたシラバスではある程度「まだ知らない文型や表現を新しく学習する」という目標を持たせたコマも存在したが、最終的にレベルが比較的高い学習者にとっては「既に習った事のあることをいかに使うかを練習する」ことが目標となったと思われる。つまり、レベルが高い学習者にとっては語彙や表現の面で新しい知識を身につける授業になった。
(2)カリキュラム上の調節
・教授事項の数・時間配分
以上の点にも共通するが、1コマ中で注目する文型や機能の数の見積もりが少なくなっていった。
・教師の発問の種類など
前半は、学習者の知っていることを聞き出したいという思いから、教師から学習者への学習者の答えが予測できない質問が多くなり、また学習者同士のやりとりも未習語彙などを拾うことによって広げるなど、自由度の高い発話を多くする傾向があった。ある意味では、本当のコミュニケーションを教室に取り入れるということにつながると事前には考えていたが、実施する中で、学習者の中に、既習語彙・表現が少ない人も含まれ、既習度の高い学習者の発話中の未習語彙の扱いに時間がかかってしまうこともわかってきた。その学習者に対する理解補助となる教材を用意することが必要だと気付いた。その結果、ある程度、発話の自由度を限る(答えが予測できる質問を多くする、新出語彙を限る、導入した語彙のみ使用する、レアリアを使用する)などの措置がとられた。
・教材
コースが進むにつれ、当初用意した会話文より短くしたり、表現を簡単なものにしたりといった、簡略化が見られた。
わかっていることを前提に進める場合は、語彙や表現の日本語訳をわからない学習者がいつでも参照できる形にした。
・レベルを合わせる学習者
教授項目の点以外にも、授業の進度や導入、説明、練習の方法を最も既習度の低い学習者に合わせるようになった。
以上、コース開始後の変化は、進度、時間配分や教室活動、理解補助の度合いなど、学習者の既習知識.聴解能力レベル差を意識した変化が中心となった。
3.開始前と開始後の学習者情報の収集と利用の反省点
3-1.コース開始前
(1)学習者情報の収集(事前調査について)
・目標言語のレディネスに関する情報の不足
まず、以上の過程を振り返ると、後になって必要となり、事前に得られていなかった情報として、「学習者の既得知識」特に、聴解能力、既習項目・表現・発話力についての情報が挙げられる。今年度は、事前準備の段階での学習者の発話を聞く機会が、口頭テスト(PT)の際の学習者の一方的な発話に限られていた。つまり、インタラクションではなく、英語や絵のキューによって引き出される口頭テストであったため、学習者の既習得レベルを測り、いくつかのグループに分ける手段としては優れているかもしれないが、それを直接「何を学習する準備ができているか」、「カリキュラム(時間配分・教室活動)をどのようにすればよいか」ということを決定する材料としては使用できなかった。
学習項目を決定するには、そのグループの学習者がどの程度までの項目なら理解できるのか、その学習者にとって新しく学ぶことになる項目はなにか、ということ、また興味をもって学習できるものは何かという情報が必要である。
授業の時間配分や教室活動を決める際には、学習者の反応に要する時間や発話に困難を及ぼすポイント、学習スタイル、活動の好み、発話への積極性などを知っておくことが必要であった。つまり、発話のレベルだけではなく、補助をされたら発話できる項目、聞き取れる事項、ゆっくり発話してもらいゆっくり考えればわかる項目など、4技能と理解補助の度合いに幅を持たせた学習者との事前のインタラクションデータがあるとよいと感じた。また実際にインタラクションを行う事により、理解度だけでなく発話への積極性など性格に関する事もわかったと思う。
・詳細な要望(レディネスとのかかわりにおいて)
何を学びたいか、という点に関しては事前調査でよく聞けていた。しかし、何を学びたいか、どんなときに自分の日本語力の不足を感じるかということをそのまま教授項目にできるわけではなく、レディネスとの関係で決定されるべきである。例えば、学習者Jは条件文や動詞の各活用形の使いかたなどを勉強したいと希望していたが、実際に会ってみるとそれを中心にするにはまだ早い段階であると判断された。それを授業で扱う際に必要となるのは、それを教える際に利用できる「その学習者が既に知っていること」であった。また、授業で学んだ経験がない学習者の場合、どのような教室活動に馴染むかということが予想がつきにくかった。
既に知っていることに関して、ある程度の項目について事前に聞ける機会がもてたらよかった。メールでクラスで個別に聞いたことが、全ての学習者に、直接会って聞けたらよかった。どんな教室活動が好きか、言語のどのような要素に興味があるかということもそのような質問を個別に行う事によってある程度知ることができると思われる。
以上をまとめると、以下が不足していた情報だった。
・既習事項(語彙・表現・文法知識)、聞き取り能力・理解できる範囲(発話能力だけでなく、という意味)
・各学習者のクラス活動の好み、性格(正確さ・流暢さどちらを気にするか、積極性、発話の頻度・量、どんな話題によく反応するかなど)
(2)学習者情報の利用について(情報が足りないときの事前準備について)
・トピックについては事前アンケートによって学習者の要望を取り入れて作る事ができた。授業後アンケートでも確かに学習者が要望を出していたトピックでは満足度が大体高かった。しかし、学習者の満足度はトピックよりも別の要因によって変わると感じた。それは、発話機会や理解度であった。
・何を教えるかということに気をとらわれ、どのように教えるかに関して準備をする時間が少なくなってしまったように思う。そのための情報も確かに不足していたが、ある情報で何を教えるか決めてしまい、どのように教えるかで難易度調節を行う事はできたと思う。しかし、どちらにせよ、その難易度調節ができる準備をするにも膨大な準備量になってしまうと思う。事前調査がもう少し早ければ、もし調査からわかった情報が足りなくても準備が可能ではあると思うので、早めに調査と分析を終わらせたほうがよいと思われる。
・ただ、教材は会話、文型・語彙の解説だけ先に作ってしまっておいても、その使い方や練習の形はあとから変えることができるので、早く済ませるべきだった。それだけでコース開始後の授業準備がかなり楽になったと思われる。
・漢字学習の希望が出ていたにも関わらず、あまり取り入れることができなかった。宿題として作ろうと言っていたが、時間に余裕がなく実行できなかった。
・レベル差があることがPTでわかっていたのに、既習レベルの低い人への対応よりも高いレベルの人の満足度を意識して準備していたように思う。実際に会えなくても、学習経験などをもっと参考にできていれば予測できたと思う。
・既習事項がわかっていない場合、授業を進める上で使用することが予測される語彙や表現について、わからなかったときにどう対応するかを準備しなければならない。それをするには、早く具体的な授業計画を立てなければならない。
3-2.コース実施中の調整
(1)学習者情報の収集について
・オリエンテーションでの要望求め
最初に聞いたり、要望をいつでも言ってほしいということを言うだけでなく、授業後アンケートなどに「もっとこうしてほしい」「こういうことをやってほしい」ということを聞く欄を設けないと、学習者が意見を伝える機会がないのかもしれない。
・授業記録について
2−2(1)で見たように、学習者の既習項目や、学習スタイル、興味についての貴重な情報源となった。しかし、このような詳細な記録は、観察者が行うほうがよいと主われ、また、担当実習生が授業見学できる場合は、見ているだけでもわかる。今回の実習でも実際には観察者の意見や記録を利用して授業記録を書く場合が多かった。学習者情報を得るのが目的であるならば、授業記録とは別に、学習者情報記録を作っておくとよいかもしれない。授業記録は、あくまでも担当実習生が何をしようとし、その結果何ができたかがわかるようになっているとよい。
しかし、「授業を担当する」ということ自体が、その学習者にとってよりよい授業を行うために必要な情報を得る機会となることは確かである。
・授業後のクラス担当者間での意見交換について
観察していたときに気づいた事などを、共有する話し合いが行えた。主観的な印象を前提にした次の授業についての話し合いが中心になったので、客観的に判断する話し合いができていたかは自信がない。どんな点について意見交換をするかということを最初に決めておくとよいかもしれない。
・事後アンケートについて
3日目から、授業後アンケートに満足度%の表示をしたことにより、その時間の授業を基準に難易度、発話の速さ、教室活動の種類などを調整することが可能になったと考えられる。満足度が何によって上下したかということは、その学習者が授業の何を重視しているかということを示していると考えられ、授業の構成や方法を考えるのに重要な情報となった。実習生は授業への学習者の評価を知ることによって、理解できていなかった学習者がいることを明確に意識することができていたと思われる。しかし、これはカリキュラムのコース途中での変更も可能であると決定していたのならば早い段階で把握することが理想である。
【質問項目について】
・学習者にとって新しく学んだ事を聞いたのは、各学習者のレベル差があることを知ることができてよかったと思うが、その授業で教師が焦点を当てていたことを受け取っていたかどうかを聞き、それがその学習者にとって新しい事かどうかがわかるとよかった。
・すぐに次の授業に行かせるように、視覚的に分析しやすい形式にするとよい。満足度やトピック.得た知識の量.理解可能性のように尺度や数字で表されていると生かしやすかった。
・コメントの欄をつけるだけではなく、授業への要望を直接記述式で書いてもらう欄を設けるとよいかもしれない。書かない学習者もいるかもしれないが、予想するよりも学習者ははっきり書いてくれるのではないかと今回感じた。
(2)学習者情報の利用について
・教授レベルの調整
・授業後アンケートの結果では、3日目の授業を行ってから理解可能性や全体的評価が安定していった。1,2日目でもある程度レベルがわかるはずなのに、なぜ4日目以降にしか調整できなかったのだろうか。それは、一度許容難易度を超えたことをしないと実際に学習者のレベルを理解できないからか、或いは、全員の満足度が高くなるには何が必要なのかが授業後アンケートの形式を変更して初めて実感できたためであると考えられる。個々人のレベルは理解できても、誰に合わせるのが全員にとってよいのかということは1度の授業ではわかりにくいのかもしれない。そのような意味で、事前にそれを判断する情報が得られないなら、早めにそのような調整が行えるように1日目に設定レベルの高い授業と低い授業を計画的に入れておいてもよかった。
・PTで最もレベルが低いと判定された学習者に合わせた授業に変化していき、全体の満足度も上がったが、もし教授項目自体をもともとの高い学習者に合わせたレベルで設定したとしても理解度のフォローができていれば低い学習者の満足度は上がっていたかもしれない。「知っているが使えない項目を使う練習をする」という目標であったと仮定すれば、その目標は達成できたと思われるが、それが学習者が求めていたものだったかどうかは本当にはわからない。
・トピック
コース開始後には結局授業で「何を教えるか」については教える項目の量以外には大きな変更はなかったが、授業後アンケートの「トピック」に関してみると、評価の高くなかった時間のトピックを見ると(3日目@学校で許可を得る 3日目A病院で 3日目B「誘い」の前の会話 5日目Aものの描写/郵便局)、確かにこの時間は事前調査から得られた情報によって決定したトピックではないことが多い。5日目Aでは事前調査で希望が出ていた郵便局の会話が用いられたが、会話と文型とでは文型(連体修飾)のほうに焦点が合わせられたためかもしれない。こう考えるとトピックに関しては事前準備のときに考えていたよりも有用な情報であることがわかる。ただ、全体の満足度に影響を与える要因はトピック以外にあるため、どのように授業を行うかに力を入れることが必要だ。
4.まとめ
まとめとして、問題点としてあげていたことについて改善点・注意点を述べる。
@事前調査について
・ニーズとレディネスの分析に必要な情報を、何を決定するために必要かという視点で事前にピックアップし、アンケートとインタビューで何を聞くかを両方のバランスを考えて決定すべき。今回はアンケートとインタビューで聞いた事を何に生かすかということを全員で意識してできていなかったように思う。
(1)事前アンケート
・ 後で必要になってメールで質問した事項(16、17の質問)を最初から入れておく。
・ 学習者の日本語学習経験がある場合、既習事項・未習事項がわかるような質問を設ける。
・ 授業で何に焦点を当ててほしいかという質問を、教授項目と教室活動に分けて聞く。
・ 「習った事があり知っているが使う練習をしたい」のか、それとも「新しい事を学びたい」のかという、このコースに求めることを学習者に聞けるとよかった。
(2)インタビュー・レベル判定テスト
・ 文法的な知識についての一方的な発話を見るだけでなく、聴解力、発話への積極性、反応の速さもみるため、日本語によるやり取りをしたほうがよい(ゼロ初級以外)
・ 産出できなくても理解できる事項も探るべき
・ どんな語彙を知っているかは全ては把握しにくいが、自分のことや興味のあることを話してもらうだけでも少しはわかると思われる。
・ クラスが決定する前に行うならば、実習生全員が学習者と実際に会う機会を事前に設けるべき。
・ 今回Bクラス独自で行ったメールによる既習・未習事項の調査のようなものをインタビューで行う。
Aコース開始後の学習者情報の収集について
・ もし実施中も調整する方針で最初から計画するのであれば、最初の日に試したいことを事前に決めておく。
・ 授業後アンケートはすぐに生かしやすいように視覚的に分析しやすい形式にしておく。
・ 授業の終わりに直接今日の授業の難易度について聞いてもよいかもしれないが、学習者の性質によってはやはり個別に筆記式にしたほうが聞きだしやすい。
・ 他の実習生が観察できる場合、学習者の反応については観察者が記録したほうが詳細に記録できる。
B学習者情報の利用の仕方や準備について
(シラバス・カリキュラムについて)
・
矛盾するようであるが事前調査からの情報に頼りすぎず、シラバスやカリキュラムは後に変更するにしても早めに作っておくべき。「何を教えるか」は決定しておき、どう教えるか、何を使って教えるかを変更すればよい。
・
事前にいつまでに事前調査を終わらせいつカリキュラムを決定するかというスケジュールを決めておくとよい。ばらばらと学習者情報がわかりだすと最初にわかっている学習者だけで話がすすんでしまう。
・
学習者情報が少なすぎる場合は、コース最初の授業で一度いくつかのレベルの教師質問―学習者応答の活動を行い、レベル把握するほうがよいが、教材だけは事前に用意しておくべき。
・
矛盾するようであるが事前調査からの情報に頼りすぎず、シラバスやカリキュラムは後に変更するにしても早めに作っておくべき。「何を教えるか決定しておき、どう教えるか、何を使って教えるかを変更すればよい。
(授業について)
・ レベル差がある場合「内容」は誰に合わせるかということは学習者の性格や参加姿勢にもよるが、少なくとも「方法」についてはレベルの低い人が理解可能なように準備しておく必要がある。
以上、学習者情報の収集と利用、コース実施中の調整について述べたが、1週間強という実習期間で調整を行う事は労力と経験が必要で、今回も十分学習者情報を調整に生かせたとはいえない。授業準備も追いついていなかった。事前調査で得られる事を増やせばそのあたりはずいぶんカバーできると思われる。コース途中の調整をよりよく行うにも、事前の準備ができていることが大切だと思う。体系的に述べられなかったが、今回私たちが事前に準備するのに足りなかった情報やコース途中に必要だと感じて獲得していったことについて、来年度からの事前調査や授業計画に生かしていただければよいと思う。
<参考・引用文献>
田中望(1988) 「日本語教育の方法―コース・デザインの実際―」大修館書店
日本語教育学会(1988)「日本語教育機関におけるコースデザインの方法とコース運営上の教師集団の役割の分担に関する調査研究 −報告書−」日本語教育学会
日本語教育学会(1990)「日本語教育ハンドブック」大修館書店
[i]日本語教育学会(1990)では、「プロセス・シラバスに代表される学習者中心の考え方を取り入れたシラバス・デザインは、あくまでもシラバス、つまり何を教えるか、学習者の立場からいえば、何を学習するかについての改善であった。しかし、学習者中心主義は、何を教えるかについてよりも、どう教えるか、つまりカリキュラム、特に教室活動と教材の部分について考えるべきだとする主張である。たしかに、シラバスも学習者の意見を取り入れるシステムを用意したほうがよいが、シラバスは本来教師に責任があり、むしろ学習者中心主義は学習者の学習のスタイルや方策を最大限に尊重する事によって実現されるという考え方である。(p.53)」とされており、シラバスの調整とカリキュラムの調整を区別した記述がされているが、逆に先行シラバス、後行シラバスの折衷としてプロセスシラバスの名が挙げられながら、コース・デザイン上のどの部分に関する調整なのかということが定かではない記述も多いため、本稿では、コース実施中に学習者の意向を取りいれてコース開始前のコースデザイン上の決定から何らかの変更・調整をすることを指して「後行シラバスの考え方を取り入れる」と表現した。
[ii] レディネスとは、目標言語を学習するにあたって学習者の側ですでに準備ができているものを指し、本来は目標言語の既習能力だけをさすものではない、外国語学習に影響を与える全ての要素をレディネスと呼び、@目標言語のレディネス(既習能力)A外国語習得のレディネス(外国語学習適正テストによるもの)B学習条件のレディネス(経済的条件・時間的条件・学習用の機材・外国語学習の経験・学習者の興味の関心の分野)などを含む(田中1988)。
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