http://www.lang.nagoya-u.ac.jp/bugai/kokugen/nichigen/nichigen/
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http://www.lang.nagoya-u.ac.jp/bugai/kokugen/nichigen/0-kyouiku/
応用言語学講座は、日本語教育の実践に実証的な基盤を与えるため、日本語の実態を科学的に分析する方法論の習得を目指しています。日本言語文化専攻には日本語教育、教授法を習得するための充実した授業科目が設定されていますが、本講座ではそれらの実践的な知識の根幹をなす言語研究の手法の習得を目的としており、本講座で開講されている授業科目はいずれもその目的に沿うものです。将来日本語教師を目指す皆さんは、本講座に入学すれば日本語分析の方法論と日本語教育の専門的知識を同時に習得することが出来るでしょう。
学生数は各学年2〜4名で、学生の研究テーマも統語論、意味論、 語用論、言語習得論、社会言語学と多岐にわたっています。また、留学生の多くは母語の強みを生かして日本語と母語との比較研究を行っています。学生たちは皆、授業や教員による研究指導の他に、他講座の友人も含めて学生同士で定期的に研究会を開くなど、切磋琢磨しあいながら研究に取り組んでいます。
日本語教師を目指す上で教育の実践的な知識だけでは飽き足らない方、具体的な様々な研究の手法を身につけたい方、日本語と母語の比較研究を目指している留学生の方、ぜひ応用言語学講座の門をたたいてください。
http://www.lang.nagoya-u.ac.jp/bugai/kokugen/nichigen/ouyou/
「比較」という方法は大変豊かな可能性をもっています。日本文化を他の文化と「比較」することによって、文化という曖昧で茫洋とした現象を、それぞれの対象やテーマに応じて相互的に輪郭づけ、異なって見える現象の背後に共通のベースを発見したり、あるいは同じように見える現象の背後に異なる伝統や連関を発見したり、という心躍る体験が皆さんを待っています。
この講座に所属する学生もさまざまな国からの留学生が多く、研究テーマも、「和歌と唐詩の修辞比較」「手仕事をめぐる明治女性の西洋受容」「日本統治下台湾の女子教育」「日本統治下台湾人の言語意識」「雪舟の中国文化受容」「梁啓超と日本」「昔話の比較研究」「明治期日本人の中国観の変容」、「日本におけるグリム童話の受容」「江戸前期における武士の衆道と忠義」、「方丈記に表れた無常感について」など、多岐にわたっています。
文学・歴史・思想・民俗学・文化史・社会史等の各分野にまたがる学際的方法を身につけて、それぞれ自分の文化的ベースを生かした日本文化の比較研究をめざしていますので、講座は知的好奇心旺盛な学生たちに溢れています。日本言語文化学講座と連携し、さまざまな視点から日本文化を研究する楽しみと充実感を提供したいと思っています。
http://www.lang.nagoya-u.ac.jp/nichigen/hikaku/
http://www.ecis.nagoya-u.ac.jp/nichigen/gendai/
http://www.ecis.nagoya-u.ac.jp/nichigen/houhouron/
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違うものたちが、一緒に生きて行くには?
私たち多元文化論講座の研究を貫く問題意識を一言で言ってみると、このようになるでしょうか。
諸文化の共生の問題は、ただ単に多文化主義の運動や政策が進められている国ばかりではなく、現在では、日本を含め地球のあらゆるところで取り組まれています。私たちの講座では、この現代的な課題を、歴史的なパースぺクティヴも大事にしながら、一般理論のレベルで、また特殊ケースのレベルで研究しています。
もちろん民族的文化の差異だけを念頭に置いているわけではありません。世代や性の違い、身体条件の違い、職業の違い、信仰の違い、考えや趣味の違い、言葉の違い...人間の世界には無数の差異が存在し、しかもそれは、大抵の場合、優劣、強弱、貴賎、美醜、という具合に序列化されて現象しており、社会空間では差異は差別であることがふつうです。また、文化産物の場合も同じことで、例えば、かつて天下国家を論じる大きな言説に対して〈小説〉と卑下した文学世界も、その内部では〈純文学〉と〈大衆文学〉という秩序が作り出されてしまいました。こうした既製の差別的な枠組みを相対化して、違うものたちが共生する形を模索すること。それは、自分の社会から、さらには、自分の差異からも距離をとることであり、世界にとって必要な、創造的な研究になりうるのではないでしょうか。
学部段階では主にただ一つの分野での学習を求められます。しかし、上のような課題に取り組むには、どうしても、学際的な研究に踏み込む必要があります。自分の中に何かがあって、それが、既存の枠組みではどうもうまく表明できない。そういう思いをもっている方は、是非、私たちの多元文化論講座に接触してみてください。
講座の教員は次の4人です。それぞれの研究のキーワードを挙げておきます。
だけど、実際、多元文化論講座の学生は、 どんなことを思い、どういうことをやっているんだろう?
確かに、教員の研究領域と学生のそれが、ぴたりと重なることは稀でしょう。大きな方向は共有しながらも、それぞれが自分の関心領域を進んで行くわけで、教員のほうからの強制などはもちろんありえません。 私たちの講座の学生は全体としてまさに多元的で、研究上の関心はもちろん、得意な言語も、国籍も、出身大学も、年齢も、本当に様々です。社会で活躍している修了生の皆さんと、現在在籍して研究に励んでいる皆さんに、メッセージを依頼したところ、次のような返信がありました。どうぞ多様な声を聞いてください。
本研究科には、世界の様々な国々から多くの方々が留学されています。そのため、多元文化講座では、これら多くの方々との交流を通しながら、異なる文化を理解し、さらに自分自身が育ってきた文化を、もう一度、見つめ、考え直すことができます。授業では、様々な視点で描かれた日本文化論や日本女性に関する研究資料を読み、女性の問題点について授業中、活発な議論をすることができました。こうした授業を通して、近代、および現代の日本女性に対する理解を深めることができ、大変勉強になっています。女性は様々な環境や階層に存在するため、女性がいかに生きてゆくべきであるかについて、一言で言い尽くすことはできません。そのため、全ての女性を救う方法は、一つではなく、女性のそれぞれの生き方を尊重することになると思います。今後、女性が男性と平等に生きてゆくためにも、社会や法律、教育(専門知識や資格)の全般的な向上が不可欠であると考えます。以上は、私がこれまでに多元文化論講座で学んだ感想です。
恩師のもとで自らの研究テーマを学ばせていただいている日々がフランス留学(日仏共同博士課程)となって実を結び、また、ボローニャ大学において開催される多文化共生セミナーに参加させていただくなど、こちらで糧となる経験を積ませていただいております。名古屋大学大学院での日々は、一歩、一歩、自らの歩みを築く場であり、また一生の師、友となる方との出逢いは、自らを豊かにさせ、充実した時を過ごさせていただいていることを嬉しく思うと共に、感謝しております。これからも講座とともに歩んで行きたいと思っております。
研究の大きな枠組みは日韓比較宗教であり、その対象は、韓国発生の統一協会を中心にしています。1954年創設以来韓国をはじめ、日本、米国、そして、南米地域など、ますますその勢力が大きくなり、従来キリスト教系新興宗教といった形から、今は独自的な形の宗教に変わりつつあります。そのような統一協会を対象に、日本と韓国の比較研究をしています。この研究の目的は、第一に、宗教の風土が違った日本社会において、統一協会が深く根を下ろせた社会的要因を探ること、第二に、韓国に比べて日本では社会的な問題を起こす宗教集団といった認識が強いですが、その要因を調べる上で、韓国と日本社会において統一協会はいかなる活動の違いがあり、活動の様相は違っていても、その違った二つのものがどのようにつながり動くのかを調べること(宗教の組織を研究考察)、第三に、宗教が海外進出することについて考える上で、その文化、社会的風土にどのように適用、定着するのか、を研究の課題としています。確かに、統一協会が日本と韓国であらわしている宗教的面貌はまったく違っています。もちろん、社会から受けられる印象も違います。距離的には近いといえども、その宗教的な様相はまったく違ってくるわけで、その違ったことから導き出されるもう一つの事実を宗教の異文化接触及び定着といった理論として提示していきたいと思っています。要は、ここから得られた研究内容をもって、宗教が他の国に伝わった場合、同じような形の宗教展開が可能なのか、という話であります。 今は異文化接触、比較文化、比較宗教などといった資料を中心に研究を進めています。
私は「宗教とジェンダー」の分野に関心を持っています。既成宗教は性別を神のような絶対的あるいは超越的な存在のもとに独特なやり方で意味づけ、女性への不当な価値観や社会構造の形成に加担してきたという側面ももつのです。新宗教は性差別の傾向が強い既成宗教と異なり、多種多様なジェンダー観を持つが、男女平等を教理で説きながら、近代性役割分業に基づき、女性を男性よりも下位に位置づけている傾向がよくみられます。それにもかかわらず、新宗教の教団活動に熱心に参加する女性が多いです。私の研究テーマは主に天理教の女性が宗教を通して自己にとって良き生き方、良き信念に至る境地の過程について研究を進めております。授業としては、「主体形成論」「ジェンダーと文学」を受講しております。講義では、近代の日本女性が時代の変遷によって異なる主体の形成、また西洋と東洋のジェンダー観の差異、欧米、日本、中国文学の作品における女性像について先生と学生たちの意見を交わしたり、討論したりしています。こうして自分の思考に多元的に促進させ、また研究にもより広い視野と見聞を与えます。
◇ 2008年度 多元文化論講座 学生研究テーマ一覧 ◇
張 蓮(チョウ レン)(博士後期課程3年):『ジェンダーの視点から読む志賀直哉文学―恋愛・婚姻関係における語られる女性―』
李 強福(博士後期課程2年):統一協会の日韓比較研究−グローバル化を目指す統一協会の多文化布教と土着、そして、成長をめぐって
黄 耀儀(博士後期課程2年):天理教教団の女性観
岩下曜子(博士後期課程2年):マグレブ系第二世代におけるイスラムのヴェール着用の意味−ライシテ(政教分離)と信教の自由の相克
大根絹代(博士後期課程1年):「きょうどう」(共同、協同、協働)の視点を持つネットワークの可能性について
六鹿桂子(博士後期課程1年):徳欽チベット族の一妻多夫婚―中国雲南省迪慶チベット族自治州徳欽県の村々における調査研究
張 雅?(チョウ ヤーティン) (博士後期課程1年) :台湾に向けての家事.介護労働者の国際移動変化−インドネシアとフィリピンの比較について−
川村浩子(博士前期課程3年):A Development of Multicultural Education and Honeyford Affair in the UK.
川越えふ美(博士前期課程2年):イギリスにおけるムスリム系移民女性の宗教的アイデンティティ及びジェンダー観に対する意識の変遷−イスラーム・フェミニズムの動向と今後の可能性について
栗村清子(博士前期課程2年):J.-J.ルソー『エミール』における「消極的教育」論について
范 丁亜(博士前期課程2年):中日における高学歴女子学生の就職意識比較
棚橋美知子(博士前期課程1年):バルザックの登場人物ヴォートランの他者支配観の変化について
高橋直巳(博士前期課程1年):近代世界システムと19世紀のイギリスファッション
田邉悠子(博士前期課程1年):フランス音楽における他文化の存在について
西野紗代子(博士前期課程1年):中央アジアにおける多文化共生:(多数の民族が共生している中央アジア(特にキルギスタン、カザフスタン、ウズベキスタン)の現状を調査し、民族間共通語であるロシア語と各民族語の間で生じる問題点や今後の各地域における言語面での課題について研究を進める予定です。)
http://www.lang.nagoya-u.ac.jp/tagen/tagen-koza/
http://www.lang.nagoya-u.ac.jp/tagen/sentan/
南北アメリカ言語文化講座は、北米と中南米の言語文化の諸相を、人種、民族、宗教、階級、性差、環境等の視点から捉え、現代世界の諸問題に関わる理論構築と実践的方策の究明を目指しています。
当講座では、アメリカ文学、アメリカ文化、アメリカ社会史、アメリカ先住民史、ラテンアメリカ思想などを研究することができますが、北米と中南米の言語・文化・社会について、またそこに見出される諸問題について、多元的に学ぶことも可能です。また、文化や言語の違いのために、これまで別々に研究されてきた北米と中南米を、縦断的に捉えることもできます。
専任の教員は、アメリカ文学・文化を専門とする長畑明利教授、スペイン語・ポルトガル語圏における文化史および哲学思想史を専門とする水戸博之教授、アメリカ合衆国先住民史、合衆国における国家‐ネイティヴ関係再編史を専門とする水野由美子準教授の3人です。「現代アメリカ文化論」(長畑)、「中南米言語表現論演習」(水戸)、「現代アメリカ社会史特論」(水野)および「社会言語学入門 a, b」(モリタ)を当講座の授業として開講しています。(関連する他講座・他専攻の授業も受講できます。)
修士課程(博士前期課程)に入学すると、研究のために必要な外国語と研究方法に関する基礎固めを行い、これをもとに学生各自のテーマについての研究を進めます。修士論文はこれらの研究の集大成です。授業および論文執筆、必読文献レポート執筆等に関して、教員から密度の濃い指導を受けることができることは言うまでもありません。 参考までに、これまで修了生が執筆した修士論文の題目を紹介します(過去5年分)。
修士課程を修了した後、学生の多くは博士課程(博士後期課程)に進学しますが、語学力と専門知識を活かして就職する学生もいます。これまでの修士課程修了者の就職先には、教職、ヤマザキマザック、岐阜県庁などがあります。
南北アメリカ言語文化講座は、北米と中南米の言語、文化、社会を対象に、皆さんがこれまでに育んできた様々な問いを追求する場を提供します。身近なところで得られた問いの答えが、これらの地域の言語、文化、社会について学ぶことで得られるかもしれません。もしかすると、その答えはさらに別の、今度はもう少し大きな問いをもたらすかもしれません。その問いに答えるためには、どんなことを、どんな方法で調べたらよいか知恵を絞る必要があるかもしれません。教員に助言を求めたり、先達の経験を踏まえたり、他の学生に相談したりすることで、やがて追求すべき道が見つかると、今度は必要なことがらを自分で調べたり、考えたりすることで、この少し大きな問いの答えも見つかるかもしれません。すると次にはきっと、さらに別の問いが浮かんでくることでしょう。
こうした問いと探求の繰り返しを通じて、北米あるいは中南米の(もしくは、北米および中南米の)言語、文化、社会について、自分なりの意見が培われていくはずです。また、さらには、言語や文化や社会一般についての借り物でない自分の意見が培われていくことでしょう。そうした経験のなかで、地球上の遠く離れたところに、自分と同じ関心を持つ人の存在を知ることになるかもしれません。過去に自分と同じ考えを持った人がいたことに気づくということもあるでしょう。研究と学習を通じて、自分が今現在の世界とは比べものにならないほど大きな世界の一部となっていることを知ることになるのです。ある日、ふと考えてみると、自分が人間的にも一回り大きくなっていることに気づくことでしょう。もちろん、学習・研究の過程で、語学の力は格段に伸びるでしょうし、知識の量も増えるはずです。文章の書き方や発表の仕方も上達することでしょう。ときには苦しい時期に差しかかることもあるかもしれませんが、そうしたときも、教員や他の大学院生など、研究の仲間を通じて、壁を克服することができるはずです。研究・学習を通じて、教員や他の大学院生との新しい交流が生まれ、それは人生におけるかけがえのない財産となるに違いありません。
他の講座と同じように、私たちもまた、数多くの知の扉を用意しています。扉の向こうには、広大な世界がひろがっています。道案内は教員が務めます。長い人生の短い時間でも構いません。扉を開けて、足を踏み入れてみませんか。私たちとともに歩いてみませんか。
http://www.lang.nagoya-u.ac.jp/tagen/america/
東アジア言語文化講座では、東アジア諸地域(中国、韓国・朝鮮、ロシア)における言語文化の諸問題に対して学術的な接近ができる人材の養成を目指しています。
したがって、
(1)東アジア言語文化講座では、真摯な人を求めます。東アジア諸地域の研究には膨大な蓄積があり、どのような問題に迫るにもそれを無視することはできません。所定の期間内に研究結果をまとめるには主な先行研究を精査しなければなりません。
(2)東アジア言語文化講座では、常識に挑む人を求めます。学術研究は定説の確立を求めます。しかし、定説を崩すことなしに学術研究の大きな進展はありません。先行研究で得られた知見を踏まえながらも、それに疑いの目を向けなければなりません。
(3)東アジア言語文化講座では、洞察力のある人を求めます。言語文化の現れ方は一見無秩序に見えるほどに多様です。学術研究はその背後にある規則性・法則性を追究します。調査・観察された現象の背後を見通す透徹した目が必要です。
(4)東アジア言語文化講座では、ロマンを持つ人を求めます。学術研究には明確な目標が必要です。しかし、目先だけの目標を追うだけでは思考が萎縮します。今やろうとしていることが将来の自分の活動にどのように活かされるのか、射程の長い目標を持つことが必要です。大きなロマンを持って研究に望んでください。
東アジア言語文化講座の現スタッフの専攻分野と研究テーマは次の通りです。
飯田秀敏(日韓英対照言語学、韓国語教授法)
日本語話者向けの韓国語教授法に主たる関心があり、対照言語学の視点から、教育の現場と直結した教材開発、教授法開発を目指しています。最近は、指導した博士学位論文に啓発されて、日本、韓国、中国、英語のことわざの比較研究にも大いに関心を寄せています。
柳沢民雄(言語類型論、カフカース言語学、バルト・スラヴアクセント論)
旧ソ連邦(特にカフカース地域と東シベリア地域)の諸言語を中心に言語の類型を研究しています。これと平行して欧米の言語類型論とは異なるロシア独自の言語類型理論も研究テーマにしています。これは、思考と言語の関係についての研究から発達してきた内容的類型論です。また、バルト諸語とスラヴ諸語のアクセント法の歴史比較研究も行っています。
楊暁文(中国近現代文学、華文文学)
中国近現代の文学と芸術がどのように形成され、確立したのかを、文学者・画家・翻訳家である豊子ト(1898〜1975)の研究を通して明らかにしようとしています。また、豊と周作人の関係という角度から1920年代の「文学研究会」などを研究し、豊がその代表的な作家の一人とみなされる30年代の「論語派」や豊に批判的態度をとる「左連」をも視野に入れます。同時に中華人民共和国成立後のサブカルチャー、とくに「文革」後のそれに関心があり、近年、非中国語環境下における、世界的な規模の「華文文学」の研究に取り組んでいます。
丸尾誠(現代中国語文法、中国語の移動動詞の研究)
近年、複雑な言語事象の解明に人間の認知のプロセスという観点からアプローチすることの有効性が説かれるようになっています。こうした方面での研究成果をも踏まえつつ、中国語話者がある出来事を認識し、言語化するメカニズムを、構造・意味・運用の面から解明していくことを研究課題としています。とりわけ、人間の認識・発想法と密接な関連を有するとされる動詞の意味と構文の関係についての記述をすすめています。
勝川裕子(現代中国語文法、領属表現に関する研究)
言語の表現形式はその言語を使用する民族集団の事象・現象・心象に対する認識を反映しているという視点から、中国語話者が、時間・空間・数量・領属などに関わる事象をどのように認識し、それがどのように言語化されるかについて統語的、意味的側面から考察しています。現在は特に中国語話者の領属に対するプロトタイプ効果を明らかにすることを研究課題としています。また、他言語と比較対照することにより、上記文法範疇における中国語表現の特徴を抽出することをめざしています。
以下では、具体的に東アジア言語文化講座の学生の出身地域、就職状況、在学生の研究テーマ、授業の様子および指導体制などについて紹介します。
(1)学生の状況
日まで在学した学生の出身地域は、中国、韓国、モンゴル、ロシア等の留学生と日本人です。日本人学生は在学中に中国や韓国等に留学する学生が多いようです(現在は、2名の学生が台湾大学と復旦大学に留学中です)。
(2)就職状況
博士課程修了者は留学生を含めて日本の優良企業(例えば、デンソー等)に就職するか、あるいは本国に帰り日本関連の企業・機関に就職する場合が多くみられますが、やはり、日本および海外の大学・高等教育機関にて教鞭を執る者が多いようです(名古屋大学、名城大学、名古屋学院大学、中京学院大学、文藻外語学院、中日本自動車短期大学、上海東華大学、名城大学付属高等学校ほか多数:非常勤講師を含む)。 特に博士号を取得した学生は、ほぼ全員が大学に教員として就職しています。その一部の氏名と就職先を以下列挙しておきます。
孫長虹 東北師範大学中国赴日留学生予備学校 教員
顧蕾 北京外国語大学日本語学部 教員
金由那 名古屋韓国学校 専任講師
勝川裕子 名古屋大学大学院国際言語文化研究科 准教授
陳玲玲 上海交通大学 教員
寇振鋒 名古屋大学大学院国際言語文化研究科 准教授
鄭芝淑 名古屋大学大学院国際言語文化研究科 助教
(3)在学生の研究テーマ
在学生の研究テーマは、言語(語学)研究と文学・文化研究の二つに分かれるでしょう。東アジア言語文化講座は文学・文化研究と並んでアジア地域の言語研究にも力を入れています。特に中国語学や韓国語学を研究する学生が多くいます。それ以外にもモンゴル語やロシア語・リトアニア語の研究をする学生がいます。文学・文化研究は主に中国近現代文学に関する研究を行う学生が多くいますが、それ以外にも中国少数民族の研究や朝鮮やサハリンの社会文化に関する研究を積極的に行っています。
(4)授業の様子や研究指導体制
授業の様子や研究・生活指導は各教員により異なりますが、目標とするところはまず修士論文を書き上げ、それを基にして独創的な博士論文を仕上げるべく指導しています。以下は本講座の教員の授業と指導の内容です。
飯田秀敏:授業は日本語話者のための初級韓国語教授法を中心に行なっています。受講生のほとんどが韓国語教育の現場を持っており、現場に密着した視点に立つことを心がけています。また、名古屋地区の韓国語学習者・教育者を会員とする研究会を組織し、学習用・教授用資料の作成に務めています。生活指導に関しては、いつでも面談できるということ以外、特に方策を講じてはいませんが、これまで困難な問題に直面したことはありませんでした。学生同士の相互扶助がうまく機能しているようです。
柳沢民雄:授業では言語(語学)を研究する際の基礎となる言語学の一般的なテーマを半期ごとに選び、これについて書かれた外国語の文献を講読しながら、皆で議論しています。授業の内容が院生の研究テーマと必ずしも一致するとは限りませんが、授業を通じて研究することとはどういうことなのか、論文とはどのように書くのかを院生が理解してくれることを望んでいます。生活指導についてですが、指導学生は随時相談することができます。
楊暁文:大学院の授業では、中国における1920〜30年代の文学とは何か、当時の知識人が何を考え、激動の時代をどう生き抜いたのかをめぐって、一部講読もまじえて講義しています。中国文学研究における方法論等についても受講生と一緒に考えます。また、学期の後半には、受講生がそれぞれ自らの研究テーマについて発表していただいています。それについて全員で討論します(受講生が互いに切磋琢磨して研究に励むことを討論の目的としています)。留学生と日本人学生が共に学んでいるこの授業に活気があります。教員も受講生も知的な刺激をよく受けることになるでしょう。研究指導に関しては、指導学生と随時相談しています。
丸尾誠:大学院の授業(現代中国語表現論)は中国大陸・台湾からの留学生および日本人からなる混合クラスです。みな積極的かつ自由に発言してくれます。そのときの何気ない一言が新たな視点からの分析に結び付くケースも少なくありません。クラスの大半を占めるのは留学生ですが、その出身地域が様々であるがゆえに、議論の前提となる中国語のある表現の成立・不成立に関して見解が一致しないことが甚だしく、くわえて、文法書などでいわば公認の事実となっている解釈ですら往々にして不適切であるという反応が多くみられ、正直毎回辟易してしまいます。しかしながら、先行研究における研究成果を十分に踏まえつつも、たとえそれが権威のある研究者の記述であってもただやみくもに受け入れるのではなく、常にそれが事実なのか自ら再度問いただす態度をもって研究に取り組むことが、新たな研究テーマの発掘につながる突破口となりえます。言語研究とは唯一の正答を求めるのではなく、いかにしてより合理的かつ包括的な解釈を構築していくかという点に面白さがあるのではないでしょうか。学生とともに言語事実を観察・分析していく過程を有意義なものと認識しています。
勝川裕子:大学院の授業(日中対照表現演習)は、日本語学、中国語学を専門とする学生が履修しており、日本人学生と中国大陸・台湾からの留学生が半々の割合で参加しています。授業では主に中国語文法に関する諸問題を取り上げ、関連論文を読みながら日本語との比較対照を通じて皆で討論しています。また、受講生には毎回担当を決め、それぞれの研究テーマについて発表してもらうなど、修士・博士論文のベース作りに取り組んでもらっています。討論や研究発表では、毎回面白いコメントや、意外な指摘など活発な意見が飛び交い、その意味ではネタの宝庫だと思っています(私が一番勉強させてもらっています)。授業では論文を的確に読み解く力を養い、専門分野の基礎知識を身に付けると同時に、「本当にそうであるのか」と常に問い質す姿勢を確立していってほしいと考えています。研究・生活指導に関しては、指導学生と随時相談しながら進めております。
(5)最後にこれから入学する学生へのアドバイス
1)まずは自分が本気で取り組みたいテーマを明確にしてください。テーマの選択が自分の将来の身の振り方に重大な影響を及ぼすことになります。研究の成果は論文という形で示すしかありません。日々論文執筆に追われる生活は苦しいものですが、自分なりに満足のいく論文に仕上がったときの爽快感を、ぜひとも味わってほしいと願っております。私たち教員の指導がそのための一助となりえることが、何よりの喜びです。
2)研究は基本的に孤独で地道な作業です。しかし、何からどう手をつけたらいいのか、この方向で間違いないのか等不安に感じた時、周りには互いに支え合い、議論できる仲間がいます。叱咤激励し(時にはプレッシャーを与え)アドバイスしてくれる教員もいます。そのような同志と共に、自らが心惹かれてやまない対象を掘り起こし、より具体的に追究していってほしいと思います。
http://www.lang.nagoya-u.ac.jp/tagen/asia/
http://www.lang.nagoya-u.ac.jp/tagen/europe/
ジェンダー論講座では、フェミニズム、ジェンダー、セクシュアリティに関する研究を基盤にして、文化、社会、経済の様々な現象を、批評的・学際的に検証しています。文学、哲学、精神分析学におけるジェンダー表象の考察、ゲイ・レズビアン、クィアなどの研究に必要な理論的基盤の構築、社会の物質的基盤をなす経済にジェンダー視点からアプローチする試みなどを行っています。本講座は、社会の既成概念にとらわれない人材を育成し、研究成果を広く社会に還元することを目指します。
ジェンダー論講座ブースでは星野幸代准教授による講座案内プレゼンテーション(15:30〜15:50)と谷本千雅子准教授によるミニ講演(16:30〜16:50)を行います。
それ以外の時間帯には、学生生活、大学院授業、読書会、修士論文や博士論文の執筆、修了生の進路などについての質問を受け付けます。当講座に在籍する学生と教員がお答えしますので、気軽にお尋ね下さい。また、当日はブース内に大学院授業での使用テキスト、必読文献、講座修了生の修士論文、学生生活のスケジュール表、学生による課外活動の紹介やスナップ写真などを展示していますので、ぜひご覧下さい。」
http://www.lang.nagoya-u.ac.jp/tagen/gender/
インターネットに象徴される情報技術の進展により、人類の情報活動が質的・量的に大きく変化する中で、社会において機能する「メディア」の役割は、その重要性がますます顕著になっています。その変化の中で、新しい時代をリードする「メディアのプロフェッショナル」が求められていることは言を俟ちません。
情報メディアに関する高度な知識と理論、情報の的確な評価、情報の創造・流通・交流に関するさまざまな要素のコーディネート、効果的な情報コンテンツの制作と発信、これらの力を備えた専門性の高い人材が、単にマス・メディアなどの情報産業から求められているだけではなく、さまざまな機関・組織から広報・宣伝・情報発信の担当者として求められています。
企業では、従来から行われてきたオン・ザ・ジョブ・トレ−ニングによる人材育成に代わり、高い専門的技能に基づく創造性と広い社会・文化的理解力を兼ね備えた人材を求める傾向にあり、それに対応する養成機関として当コースは設置されました。
当コースには、国際報道の第一線で活躍していた元共同通信記者の教授、中日新聞社からの客員教授3名を含め、メディア関連企業等から講師を迎えています。また、インターンシップを取り入れるなど社会との連携を重視します。現代ジャーナリズム論、新聞現場論、広告文化論、メディアディスコース分析論、メディア・テクノロジー論、放送メディア史論、メディアコンテンツ制作論などの授業の開講しています。
当コースは多くの講師を主要メディア企業より迎え、インターンシップの導入、現場に密着した教育など、社会との連携を重視しています。大学院前期課程では、修士論文執筆を目指す論文作成プログラムと、コンテンツ(新聞記事、映像作品など)作成を目指すコンテンツ作成プログラムを導入し、専門性の向上を図っています。
学生の研究面においては、個別的指導の充実化をはかり、指導教員に加え、上記二つのプログラムに対応したアドバイザー・グループを設置しています。教員集団として、学生の研究の進捗状況を把握するとともに、助言を行います。コンテンツ制作を目指す人は「思索する制作者」にならねばなりません。それは、政治、経済、社会、環境問題などについての広範囲な知識と国際的視野をもち、一個の人格として、社会と人類に対する責任を遂行しようとする、豊かな人間性と社会性を備えた人間です。
こうした特徴をもつ当コースでは、卓越した見識と先見性を持った人材を養成し、現在の社会で活躍するだけでなく、次代の社会への変革をリードする人材育成を目指します。
http://www.lang.nagoya-u.ac.jp/media/
高度専門職業人コースの対象となるのは、来年度大学卒業見込みの学生はもちろん、社会人リカレント教育の一環として、在職のまま(あるいは休職して)就学したい社会人や中等教育機関の教員などが含まれています。たとえば、大学卒業後に就職したけれども、もう一度大学に戻って知的な環境の中で自分を見つめ直してみたいという人、退職後あるいは子育てを終えてできた余暇を利用して大学院レヴェルの知的訓練を受けてみたいという人、自分の専門的な研究はかなり進んでいるけれども別の角度からもう少し知的な刺激が必要だと感じている人などに最適です。授業科目には「翻訳技術演習」や「通訳技術演習」などの実技演習、外国語母語話者による表現演習などがあり、外国語能力のレヴェルアップに役立つはずです。平成20年からは「eラーニング技術演習」という英語教育に関する新しい授業科目も開設しました。
オープン・キャンパス当日は、教員による授業紹介のほか、質疑応答の時間もあります。あなたもオープン・キャンパスにいらっしゃいませんか。
最後に修了生の声をお聞き下さい。
−阿藤文子、平成16年度修了現在、国際言語文化研究科博士後期課程−
(ヨーロッパ言語文化講座在籍)
◆自分自身の高校英語教師の経験や、夫の転勤による欧米滞在体験をもっと生かしたい、そのためにも改めて英語力を伸ばすとともに、国際多元文化等を体系的に勉強したいと思っていました。そんな折、本研究科の高度専門職業人コースを知り、これこそ私の求めていたものという思いがしました。幸いにも入学することができ、1年次には通訳技術演習、翻訳技術演習、母語話者による英語表現演習など、コース独自の授業を通して実践的な英語力をつける機会を得ました。と同時に、いくつもの国際多元文化専攻の専門授業などを受講しましたが、どの授業も面白く、新たな視点を与えられることも多く、学問の奥深さを感じました。確かに、課題がハードで量も多く、発表やレポートもあり、やりこなすのは大変です。でも、「学ぶことの楽しさ」が本当に分かってきた気がします。この年になってもこういう機会に恵まれたことに感謝の気持ちで一杯です。今日も若い人たちの輪に入って話に花を咲かせ、学生生活を満喫しています。
−佐藤綾子、平成18年度修了−
◆高専人コースへ進学することを志したのは、学部時代に勉強した英語の力を、より実践的な技術として活用できるものにしたいという思いがあったからです。コースに入学後、私はその思いにそって、翻訳技術の習得を目的とする授業をはじめとして、ネイティブの教授による文化論の授業など、幅広く英語やその背景にある欧米の文化を学ぶ授業を履修しました。英文学の古典小説の翻訳の課題のために辞書を片手に四苦八苦したかと思えば、翌日にはネイティブの教授の授業でクラスメイトと英語で議論し、また別の日にはジェンダー論や文化論の講義を聴き入るといった学生生活でした。私が学んだように、このコースの特色として、英語の翻訳や通訳技術など、コースで必修となっている実践的な英語の技術を学ぶだけではなく、他講座で開講されている授業を履修できるということがあります。実際に社会に出て英語を用いて仕事をする上では、英語力に加え、英語が用いられる文化に対する知識が必ず必要になります。実践的な技術を学ぶ授業だけでなく、これらの文化論的な授業を履修できたことは、私にとって非常に有益であったと思います。
知識に加えて、人との出会いもこのコースに所属するあいだに私が得た大きな収穫の一つでした。私は学部を卒業してすぐに進学しましたが、同期は社会人経験を経て大学院に進んだ方たちでした。すでに十分すぎるほどの能力を持ちながらも、さらに意欲的に学ぼうとする彼女たちの姿勢に、私は大いに刺激を受けました。大学院においては、彼女たちの他にも、研究や学ぶことに熱心な老若男女、国籍も雑多な様々な人々との出会いがたくさんありました。このコースおよび研究科に所属した二年間に学んだこと、そして出会った人々は、私にとって大きな糧となっています。
−高須由香 平成19年度修了、現在公立高校勤務−
*大学を卒業してから八年間、公立高校の英語教員として働いていた私は、忙しいながらも充実した毎日にもかかわらず、何かが足りないような感覚にとらわれていました。そして昨年、それが何であるのかもよくわからないまま、名古屋大学大学院国際言語文化研究科に飛び込んだのです。大学院生としてのこの一年間は、多くの新鮮な経験を積むことができました。
まず第一に、学問。アメリカやヨーロッパを中心とした文化に関する授業は、私に、新たな角度から「英語」という言語を眺める視点を与えてくれました。哲学に関する授業では、その難解さゆえに現実から引き離され、自分の身の回りの世界を客観的に見る機会を持つことができました。次に、実践的な英語力。実際に翻訳や通訳の現場で活躍された先生の授業やインターネット上の教材を利用した英語学習は、私の英語学習に、大きな刺激を与えてくれました。レベルの高い英文を毎回数十ページ読みこなしていかなければいけない予習は、辛いと感じたこともありましたが、確実に私の英語力を高めてくれました。
そして何より、恵まれた人間関係。自分の教え子と同年代の同級生と一緒に学ぶことは、少し不安で、照れくさかったけれども、本当に楽しかったです。指導は厳しい先生方も、普段はとても気さくで温かく、先生も交えたおしゃべりからは、学問以外のことも多く学ぶことができました。大学院生活は、私のこれからの毎日に、大きな糧を与えてくれたように思います。
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