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平成11年度(2011年4月〜2012年3月まで)
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日本語教育学原論a:
実証的言語研究法・基礎編 |
前期、火6 全学教育棟4階SIS4(キャンパスマップ参照) |
<講義目的>
心理言語学的なアプローチによって,言語の研究を「直感」ではなく「実証」的に行うための方法を習得する.そのために,言語研究のための調査・実験計画の立案,データの統計解析,分析結果の読み方,論文での報告の仕方など一連の論文作成のための方法を身につける.そのために,各クラスごとに研究テーマがあり,そのテーマに対してどうアプリーチしていくかという仮説検討型の授業を行う
<講義内容>
言語研究のために,講義では,クラスごとに研究テーマがあり,それに対して,(1)どのようにサンプルを集め,(2)どのようなデータ収集,テストあるいは実験をして,(3)どのような分析を行い,(4)どのように図表化し,(5)どのように分析結果を報告し,(6)さらにどのように結論に導くかという,6つの‘どのように(How)’の順に一連の研究方法を説明する.データの解析には,
Microsoft Excelと SPSS社の統計パッケージを使う.言語の理解や習得に関係した仮説を証明するために,音韻,語彙,文,コーパスの頻度など多様なデータについて,15回の授業で基礎的な分析法を指導する.ノンパラメトリック分析としては,頻度データの解析のために一様性の検定,独立性の検定,クラスタ分析を教える.パラメトリック分析としては,t検定,分散分析,多重比較,単純対比,などを扱う.また,予測分析としては,相関係数,単回帰,重回帰,判別分析を教える.実際の言語研究で得られたデータを使いながら,
SPSS社の統計パッケージを使って分析してみる.もちろん,得られた結果の読み方,図表の書き方,報告の仕方も同時に教える.
[各クラスの授業内容]
1.2011年4月19日 連濁の有無とライマンの法則: 頻度データに関する一様性の検定
2.2011年4月26日 連濁の変化と第1要素の影響: 頻度データに関する独立性の検定およびFisherの直接法
休.2011年5月10日 オランダのライデン大学へ出張のため休講です。
3.2011年5月17日 焼酎の連濁の種類と地域の影響および普通体と丁寧体の使用頻度: 決定木分析
4.2011年5月24日 接続助詞の文中・文末表現の頻度: コレスポンデンス分析と決定木分析の違い
5.2011年5月31日 聴解・語彙・文法テストによるグループ分け: パラメトリック統計の基礎
6.2011年6月7日 テストの信頼性と妥当性: Cronbach’s α, Krippendorff’s α, and bootstrap
7.2011年6月14日 和製英語の理解: 独立したサンプルとウェルチのt検定,カイ二乗検定とフィッシャーの直説法
8.2011年6月21日 日本語の文の正順語順(canonical order): 1サンプルのt検定と対応のあるサンプルのt検定
9.2011年6月28日 正順と掻き混ぜ語順の可能文の認知処理: 対応のあるサンプルのt検定とクラスタ分析
10.2011年7月5日 韓国語母語話者の和製英語の理解に及ぼす日本語語彙力の影響:分散分析と多重比較
11.2011年7月12日 短縮語の理解: 2×2の分散分析とクラスタ分析
12.2011年7月19日 聴解と音声提示された正順・かき混ぜ文の理解: 反復を含む二次元配置の分散分析
13.2011年7月26日 山口方言話者のモーラ・音節産出の世代間比較: 被験者分析と項目分析
14.2011年8月2日 最終試験 - 四者択一形式の最終試験を実施します.これまで学習した内容のポイント.
◇教科書:授業で使う資料はhttp://www.lang.nagoya-u.ac.jp/~ktamaoka/class.htmからクラスごとにダウンロードすることができる.
◇参考文献: (1) 宮岡弥生・玉岡 賀津雄・林R情・池映任 (2009). 韓国語を母語とする日本語学習者による漢字の書き取りに関する研究?学習者の語彙力と漢字が含まれる単語の使用頻度の影響?. 日本語科学, 24, 105-116.
(2) 柴崎秀子・玉岡賀津雄・高取由紀 (2007). アメリカ人は和製英語をどのぐらい理解できるか−英語母語話者の和製英語の知識と意味推測に関する調査−.
日本語科学, 21, 89-110.
(3) 玉岡賀津雄・林R情・池映任・柴崎秀子 (2008). 韓国語母語話者による和製英語の理解. レキシコンフォーラム, 4, 195-222.
(4) 玉岡賀津雄・邱學瑾・宮岡弥生・木山幸子 (2010). 中国語を母語とする日本語学習者によるかき混ぜ語順の文理解―聴解能力で分けた上位・中位・下位群の比較―.
日本語文法, 10(1), 1-17.
これらの資料はhttp://www.lang.nagoya-u.ac.jp/~ktamaoka/gyoseki.htmからダウンロードできる.
◇履修条件:
特になし
◇成績評価:
四者択一の最終試験問題で評価する
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日本語教育学原論b:
実証的言語研究法・発展編 |
後期、火6 全学教育棟4階SIS4(キャンパスマップ参照) |
<講義目的>
心理言語学的なアプローチによって,言語の研究を「直感」ではなく「実証」的に行うための方法を習得する.「日本語教育学言論 a」では,言語の実証的研究のための基礎を学んだが,「日本語教育学言論 b」では,高度な統計ソフトや数学理論を応用した言語研究の実証法を習得する。
<講義内容>
「日本語教育学言論a」の授業に続いて,言語研究に応用できるより高度な数学・統計解析を具体的なデータを使って教える.授業の内容は,次の4つである.(1)構造方程式モデリング (SPSS AMOS 16.0)―構造方程式モデリング (SEM; Structural Equation Modeling)とは,多変量の因果関係のモデルを証明するための分析法である. SPSS社が開発した AMOSと呼ばれる統計ソフトのおかげで,この難解な統計解析が恰も「お絵かきソフト」のようにできるようになった.具体的には,中国語・韓国語を母語とする日本語学習者に行った日本語能力試験のデータを使用して分析を試みる. SEMの基本概念,変数の種類とその意味,モデル検定の指標とその読み方,結果の解釈,論文で使うための作図などを教える.(2)「決定木 (decision tree)」分析 (SPSS Classification Tree)−コーパスから得られた頻度ばかりでなく,スケールのデータにも使えるようになった多変量解析の分析法である.ある特定の変数のデータを,複数の変数で予測する.しかも,その結果を樹形図 (dendrogram)として描いてくれるので,素人にも分かりやすい.これまで経済学・経営学のマーケティングの研究で使用されてきた解析法であるが,言語研究にも極めて有効である.(3)小規模サンプルのための項目応答理論 (T-DAPという統計ソフトを使用 )−項目応答理論 (IRT; Item Response Theory)はテストの受験者数が大規模でなくては効力を発揮しないのが普通である.しかし,それでは言語教育の現場で使用するには実用的ではない.そこで、 100名くらいの小規模の受験者に対して使用できる1パラメタ・ラッシュモデル (Rasch Model)を紹介する.データとしては,中国語・韓国語を母語とする日本語学習者の日本語能力テスト,和製英語の理解テスト,慣用句・オノマトペの理解テストなどを使用する.(4)エントロピー (entropy)と冗長度 (redundancy)によるコーパス解析 (Microsoft Excelに公式を入れて計算 )−シャノンの情報の数学理論からエントロピーと冗長度の指標をコーパス研究に応用する方法を教える.具体的には,韓国語を母語とする日本語学習者の敬語表現や日本語母語話者とコーパス頻度のオノマトペのデータなどを使用する.
1.2011年10月4日 山口方言話者のモーラ・音節産出の世代間比較: 被験者と項目データの概念と分析
2.2011年10月11日 DMDXの設定と反応時間パラダイム−実験ソフトDMDX入門その1
3.2011年10月18日 言語処理とメンタルシミュレーション
4.2011年10月25日 視覚提示実験のプログラミング−実験ソフトDMDX入門その2
5.2011年11月1日 聴覚提示およびクロスモーダル実験のプログラミング−実験ソフトDMDX入門その3
6.2011年11月8日 相関分析と重回帰分析
7.2011年11月15日 語彙能力と文法能力の構成概念: 探索的・確認的因子分析
8.2011年11月22日 Can-do-Scaleと日本語能力: 確認的因子分析と重回帰分析
9.2011年11月29日 語彙、文法、読解の関係について: 構造方程式モデリング(SEM)入門1
10.2011年12月6日 語彙と文法の因果関係モデル: 構造方程式モデリング(SEM)入門2
11.2011年12月13日 中国語と韓国語学習者の日本語習得の多母集団分析: 構造方程式モデリング(SEM)入門3
12.2011年12月20日 テスト問題の項目の検討: TDAPを使った項目応答理論(IRT)入門
13.2012年1月11日 エントロピーと冗長度
14.2012年1月18日 線形混合効果(LME)モデルによる分散分析の方法
15.2012年1月25日 最終試験 - 四者択一形式の最終試験を実施します.これまで学習した内容のポイント.
◇教科書:
豊田秀樹編著『共分散構造分析[AMOS編]』東京書籍,2007年
朝野熙彦・鈴木督久・小島隆矢『入門 共分散構造分析の実際』講談社,2005年
◇参考文献:
(1)玉岡賀津雄 (2005).「決定木」分析によるコーパス研究の可能性 :副詞と共起する接続助詞「から」「ので」「のに」の文中・文末表現を例に.自然言語処理, 13(2), 169-179.
(2)玉岡賀津雄・宮岡弥生・林R情 (2003).エントロピーと冗長度で表現の多様性と規則性を表す試み−韓国語系日本語学習者の敬語表現を例に.日本語科学, 14, 98-112.
(3) 玉岡賀津雄・林R情・池映任・柴崎秀子(2008)「韓国語母語話者による和製英語の理解」『レキシコンフォーラム』4, 195-222.
◇履修条件:
特になし
◇成績評価:
四者択一の最終試験問題で評価する
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Last updated 2011-6-20
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