「インターネットとホームページ」


   米マイクロソフト社のパソコン用基本ソフト「ウィンドウズ95」は初冬の日本列島にホットな旋風を巻き起こしたが、怪物ソフトと呼ばれる本当の理由が同社によるOS市場の独占にあるという皮肉は別にして、一般には情報処理の高速化とパソコン操作の簡便化にあると言われている。更に人気に拍車をかけたのはインターネットへの最近の社会の異常な関心の高まりで、このソフトも通信機能が内蔵化されてインターネットへの接続が簡単であることを売り物にしている。世界で六千万もの人がインターネットを利用している現在、マルチメディア時代の情報網に対応したパソコンの一般家庭への普及によって、インターネットがかつての電話や自家用車のように大衆化するのは必定で、研究者にとっても避けられない重要なツールになるはずである。
 本誌でも昨年たびたびインターネット関係の記事が掲載されたが、これからはインターネット上の情報公開の手法としてのWWWを通して、情報の受信だけでなくサーバ経由で情報を発信するためにも、個人または団体のホームページを作成する必要がある。また、情報や資料の発信はともかく、Web 上のリンク先を系統的に整理して日頃のアクセスや情報収集に余分な時間をかけないためにも、ホームページの作成は価値があるのではないかと思う。
 連休明けからインターネットを始めたマック派の私も、所属する部局がワークステーションを立ち上げるのに備え、「ウィンドウズ95」の狂騒を聴きながらホームページを作ったが、とても簡単で実に面白くゲーム感覚で作成できるので、使用料の殆どいらない学内ネットワーク (LAN) が敷設されている/される予定の学校の先生方には、今後の研究者同士の情報交換のためにも、ぜひホームページの作成をお勧めしたい。関心のある方は、私のホームページ (http://lang.nagoya-u.ac.jp/~matsuoka/) に「簡略版ホームページの作り方」があるので、ぜひ御覧いただきたい。
 とはいえ私自身がまだ初心者なので、いずれ各協会に吸収してもらうために Dickens や Gaskell のホームページを作ったり、スキャナと OCR のソフトで作った Gaskell や Collins の電子テキストや翻訳を漸次 WWW 上に流している程度にすぎない。現在の些細な計画は、英文学関係の新しい有益なサイトを各自に教える簡易型メーリングリストから始め、やがては専用のプログラムをセットアップして専門分野での情報交換の場を作ること、そして学会の時にしか会えない研究者同士の楽しい交流の場を各作家のホームページを通して提供することである。英文学のメーリングリストについては、例えば19世紀英国の文化と社会(とはいえ文学中心)に関する VICTORIA は、 DICKNS-L や bronte とは比較にならないほど多くのメールが届くが、半分近くが「ごみ」メールとはいえ、広範な知識を得るには非常に役立つ。千人を超える会員数の割には日本人が5名と少なすぎて寂しい限りだが、この分野には多くの優秀な研究者がおられるので、こちらの方でも日本のパワーを見せていただきたいと思う。
 いずれにせよ、今後 WWW を中心にしてインターネットが重要な研究用ツールになることは間違いない。電子テキストを読み込めば専用のソフトで手軽にコンコーダンスやインデックスを作成して検索できるし、有料だが話題のコーパス Cobuild の Bank of English (http:// titania.cobuild.collins.co.uk/boe_info.html) も利用できる。Yahoo や WebCrawler といった有名な Search Engines を束ねる親分のような The Source of Searches (http://www. web-search.com/)からスタートすれば、自分に関心のあるサイトを簡単に集めることができるし、英米文学研究者には Voice of the Shuttle (http://humanitas.ucsb.edu/shuttle/ english.html)や Literary Research Tools on the Net (http:/www.english.upenn.edu/~jlynch/research.html)など有益なサイトは枚挙に暇がない。これから多くの方が WWW を利用してホームページを作成されるだろうが、最大の問題は私のように意思が弱い者は熱中しすぎるあまり肝心の研究がおろそかになることである。                               

(松岡光治)

『英語青年』1996年2月号(研究社)

                             


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