
言葉でも、行為でも誰も
傷つけるべきでない。
エンブレム27
女神ネメシスは人間の足跡を追い見張っている。
女神は、測りの腕を出し、固い馬勒(ばろく)をしっかりと手に握り、
あなたがなにか悪いことをしないように、また傲慢な言葉をはかないようにしている。
ネメシスは何事であれ節度あるようにと命じている。

ついに、ついに、正義が勝つ。
エンブレム28
アイアコスの子孫の盾、ギリシア人が集会で不当にも
イタケーの人の所有物とした、ヘクトールの血で染まったその盾を、
正義にあついネプトゥーヌス神が取り上げる。もとの正しい持ち主に返るようにと、
難船させて盾を海中に落して拾ったのだ。
実際、盾は岸辺にあるアイアースの墓に波で運ばれた。
波が墓を打ち、大声でこんな喚声を上げる。
「勝利をおさめたテラモーンの子よ、君の方がこの武具の所有者にふさわしい。
好悪の感情は正義に道を譲る運命にあるのだ」。

もっともどう猛なものですらも飼いならされる。
エンブレム29
キケローが殺され、そのローマの雄弁を、祖国にふりかかった
悲しむべき災いが滅ぼしたあとで、
アントーニーウスは勝者として凱旋車に乗り、ライオンたちを車につけた。
そしてライオンたちが頑強な軛(くびき)におさまるようにさせた。
この直接語らぬ印によって、アントーニーウスは自分の武力に
度量ある指導者たちが屈したことを示したかったのだ。

恩返しすべし。
エンブレム30
親孝行で有名なコウノトリは、高い巣にいる
羽毛もまだ生えない小鳥たち−−かわいらしい夫婦のかすがい−−を養う。
母鳥は、歳をとって子供たちの助けが必要なときには、
いましているような贈り物を子供たちからもらえると思っている。
親思いの小鳥たちも親の期待に背くことがない。歳老いた親の体を
肩でかつぎ、口伝えに食物を食べさせる。

節度。
エンブレム31
墓の大理石柱のうちの一本には水差しがのり、
もう一本の柱には手洗い桶がある。
この形態により、法が賄賂で汚れることなく執行され、
職務をまっとうした裁判官は清浄な手をしていたことを気づかせている。

善良な者は金持ちから受ける害に恐れてはならない。
エンブレム32
塀が隣りあわせのマリウスは私の友人、そして反対隣りの
スッブバールドゥスも友人。この二人の名は我が界隈の有名人。
この富裕な二人はご立派な家を建て、ご熱心に
なんと頼まれもしないのに、四方から日の光を妨げる。
哀れなのはこの私。もしも私の誠実さと名誉となるものを求める私の魂が
二人にとってゼーテースでもなくカライスでもないならば、
私は、異形合体のハルピュイアのために自分の所有物をその本来あるべき所から
投げ出され奪われるピーネウスのようなものだ。